平成4年に施行された「暴力団対策法」(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)は、民事介入暴力など、いままでの法令では対処が困難であった犯罪行為に至らない暴力団員による不当要求行為等を行った指定暴力団員(公安委員会が定めた暴力団)等に対して行政的な措置で規制し(行政命令と言います)、従わない暴力団員に対し懲役や罰金など刑事罰にする暴力団取締の法規なのです。
 
暴力団対策法の禁止行為
9条 暴力的要求行為の禁止
指定暴力団員が指定暴力団の威力を示して行った15種類の不当要求行為を禁止しています。
10条 暴力団を利用する行為の禁止 一般の人であっても、指定暴力団員に対し、不当要求行為を要求・依頼・そそのかしをしたり、指定暴力団員が暴力的要求行為をしている現場に立ち会うことも禁止されています。
12条の2
指定暴力団員等の業務等に関し行われる暴力的要求行為の禁止 組織ぐるみで行われる暴力的要求行為を禁止しています。
12条の3.4 準暴力的要求行為の要求等の禁止 *指定暴力団員が、一般人等に9条の行為を要求・依頼・そそのかす行為を禁止しています。
*その違反行為に対して再発防止命令を発出することができます。
12条の5・6 準暴力的要求行為の禁止等 *指定暴力団員と一定の関係を有する者が、指定暴力団の威力を示して9条の行為を行うことを禁止しています。
*その違反行為に対して中止命令等を発出することができます。
15条
対立抗争時の暴力団事務所の使用制限 指定暴力団の対立抗争や内部抗争に対して、暴力団事務所の使用を禁止することができます。
16条 指定暴力団への加入強要・脱退妨害の禁止 指定暴力団への加入を強要したり、指定暴力団員の脱退を妨害することを禁止しています。
20条 指詰めの強要等の禁止 指詰めの強要・勧誘・補助を禁止しています。
24条 少年に対する入れ墨の強要等の禁止 少年に対し入れ墨を強要、入れ墨を入れるための資金提供等を禁止しています。
29条 暴力団組事務所等での禁止行為 *債権の履行などの交渉場所として組事務所使用の強要を禁止しています。
*暴力団組事務所やその周辺で住民などに不安を与えるような行為を禁止しています。
 
 口止め料を要求する行為
 寄附金や賛助金等を要求する行為
 下請参入等を要求する行為
 人に対して、企業や団体の不正な経営内容や異性問題のスキャンダル等、人に知られていない事実の宣伝又は公表にかこつけて、口止め料として金品等を要求する行為  人に対して、寄附金・賛助金、その他名目のいかんを問わず、みだりに金品等の贈与を要求する行為  建設工事等の請負業務の発(受)注者に対して、その発(受)注者が拒絶しているにもかかわらず、下請参入、資材の納入等の受入れを要求する行為
 みかじめ料を要求する行為
 用心棒料等を要求する行為
 利息制限法に違反する高金利の債権を取り立てる行為
 縄張内で営業を営む者に対して、あいさつ料、みかじめ料等名目のいかんを問わず金品を要求する行為  縄張内で営業を営む者に対して、日常業務用の物品購入、興行の入場券・パーティ券等の購入、用心棒料等を要求する行為  金銭を目的とする消費貸借上の債務で、利息制限法に定める利息の制限額を超える利息の支払を伴うものについて、債務者に対し、履行を要求する行為
 不当な方法で債権を取り立てる行為
(前6の2号)
 借金の免除や借金返済の猶予を要求する行為(前7号)
 不当な貸付や手形の割引き貸付要求行為
 人から依頼を受け、報酬を得て又は報酬を得る約束をして、債務者に対し、乱暴な言動を交えたり、迷惑を覚えさせるような方法で訪問したり、電話をかけるなどして債権を不当に取り立てる行為  人に対して、金銭を目的とする消費貸借上の債務や家賃、購入した物品の代金等の全部又は一部の免除や履行の猶予をみだりに要求する行為  金銭貸付業者以外の者に対して、みだりに金銭の貸付け、手形割引等を要求し、又は金銭貸付業者に対して、その者が拒絶しているにもかかわらず、貸付け、手形割引等を要求する行為
10  不当な金融商品取引を要求する行為
(前9号、信用取引行為から金融商品取引行為に拡大)
11  不当な株式の買取り等を要求する行為
(前10号)
12  不当に預金・貯金の受入れを要求する行為
(新規)
 証券会社及び投資顧問業、投資運用業等、金融商品取引業務を営む者に対して、その者が拒絶しているにもかかわらず、金融商品取引を行うこと又は、証券会社に対して著しく有利な条件により有価証券の信用取引を行うことを要求する行為  株式会社に対して、みだりに自己株式の買取り又はそのあっせんを要求したり、株式会社の取締役、執行役、監査役、株主に対しその者が拒絶しているにもかかわらず、買取り、あっせんを要求する行為  銀行等に対して、その者が拒絶しているにもかかわらず、預金・貯金の受入を要
13  不当な地上げをする行為(前11号)
14  土地・家屋の明渡し料等を不当に要求する行為(前12号)
15  宅建業者以外の者に対し、宅地等の売買・交換等を要求する行為(新規)
 正当に使用する権利に基づいて、建物や敷地を使用している者に対し、その意思に反して、これらの明渡しを要求する行為
 土地、建物を占拠したり、自己の氏名を表示したり(支配の誇示)して、所有権者、担保権者等が拒絶しているにもかかわらず、支配の誇示をやめることの見返りとして明渡し料等を要求する行為  宅建業者に対し、その者が拒絶しているにもかかわらず、宅地等の売買・交換をすること、又は売買・交換・貸借の代理・媒介を要求する行為
16  宅建業者に対し、不当に宅地等の売買・交換等を要求する行為(新規)
17  建設業者に対して、不当に建設工事を行うことを要求する行為(新規)
18  不当に集会施設等を利用させることを要求する行為(新規)
 宅建業者以外の者に対して、宅地等の売買・交換をすること、又は人に対して宅地等の貸借をすることをみだりに要求する行為  建設業者に対し、その者が拒絶しているにもかかわらず、建設工事を行うことを要求する行為  暴力団の示威行事の用に供されるおそれが大きい集会施設等の管理者に対して、その者が拒絶しているにもかかわらず、その施設を利用させることを要求する行為
19  交通事故等の示談に介入し、金品等を要求する行為(前13号)
20  因縁を付けての金品等を要求する行為(前14号)
21  許認可等をすることを要求する行為    (前15号)
 人から依頼を受け、報酬を得て、又は報酬を得る約束をして、交通事故等の示談交渉を行い、損害賠償として金品を要求する行為  人に対して、買った商品、受けたサービスの欠陥等を口実に損害賠償等の名目で、あるいは有価証券の売買で損害を被ったと因縁を付けて損失補てんを要求する行為  行政庁に対し、許認可等の要件に該当しないのに許認可等をするよう要求したり、不利益処分の要件に該当すのに不利益処分をしないよう要求する行為
22  許認可等をしないことを要求する行為     (前16号)
23  公共事務事業の入札に参加させることを要求する行為
(前17号、公共工事から公共事務事業に拡大)
24  公共事務事業の入札に参加させないことを要求する行為
(前18号、公共工事から公共事務事業に拡大)
 行政庁に対して、許認可等の要件に該当するのに許認可等をしないよう要求したり、不利益処分の要件に該当しないのに不利益処分をするよう要求する行為  国・地方公共団体等に対して、国・地方公共団体等が行う売買、貸借、請負等の契約の入札に関して、参加資格がある者や指名基準に適合する者を入札に参加させないよう要求する行為  国・地方公共団体等に対して、国・地方公共団体等が行う売買、貸借、請負等の契約の入札に関して、参加資格がない者や指名基準に適合しない者を入札に参加させるよう要求する行為
25  人に対し、公共事務事業の入札に参加しないこと等を要求する行為(新規)
26  公共事務事業の契約の相手方とすること等を要求する行為
(前19号、公共工事から公共事務事業に拡大し、契約相手にすることの要求を追加)
27  公共事務事業の契約の相手に対する指導等を要求する行為
(前20号、公共工事から公共事務事業に拡大)
 人に対して、国、地方公共団体等が行う売買、貸借、請負等の契約の入札に参加しないこと又は一定の価格その他の条件で入札の申し込みをすることをみだりに要求する行為  国・地方公共団体等に対して、その者が拒絶しているにもかかわらず、自己や自己の関係者を国・地方公共団体等が行う売買、貸借、請負等の契約の相手方とすること、又は特定の者を契約の相手方としないことをみだりに要求する行為 国・地方公共団体等に対し、国、地方公共団体等が行う売買、貸借、請負等の契約の相手方に、下請等の発注や資材・物品を納入させるように指導・助言等をすることをみだりに要求する行為
    
*赤字は新たに追加されたもの、下線部は内容が変更されたものです。 平成24年10月31日施行