□ 94_…a few years later □
俺は本を読まない。
よっぽど暇なとき、手元に雑誌でもあればパラパラめくることはあるけど、その程度で。
PCの画面で長文を読むのは別にイヤではないから、文章を読むのが面倒とかいうこともないんだけど、紙でできた本、というものに興味が持てない。
対してひばりは毎月必ず買って読んでる月刊まんが誌があって、発売日には買って持って帰ってくる。
居間に腹ばいに寝転んで、ひとつひとつのまんがを真剣な顔で読んでる。
特にまんが好きというわけでもないのに、なんで毎月必ず読んでるのか。訊いてみたことがあるけど、「だって続きが気になるだろ」って真面目な顔で言われた。
今もひばりは件のまんがを読んでいる。昨日が発売日だったから、もう既に一度は読んでるのに。
まんがって同じものをそんな繰り返し読むものなのか?それが趣味のひとならともかく。
「また読んでるのか。」
腹ばいになっているひばりの背後、後ろから覗き込むように顔を近付けると、ひばりはちょっと首を回して、
「テメーも読む?」
と訊いてきた。
「いや、俺は別に…」
ちょっと鼻白んで言ったのが、ひばりの何かに触れたらしい。
「あのなぁ、続き物は続けて読んでこそなんだよ。だから毎月必ず読まなきゃなわけ。」
「…うん、だからひばりは読めばいいだろ。俺は別にいいから。」
「はぁ〜、この楽しさが分からないなんて残念なやつ〜」
「はぁ?!」
俺は思わず上体を起こした。それから体勢を立て直して、またひばりに覆い被さった。
「うぇ、重てぇー。」
ひばりがちょっとふざけた声を挙げた。それを無視して、俺は手のひらをひばりのTシャツの裾から滑り込ませ、脇腹を撫で上げた。ひばりの背中がびくっと震える。
「…テメー、邪魔すんなよ…俺の鉄拳チンミが…」
「俺に構わず読めばいいだろ。」
わざと耳元に息を吹き掛けながら言うと、ひばりは手元の妙に厚いまんが雑誌を雑に閉じると、腰を捻って仰向けになり、俺の腰に腕を回した。
「あとで読むからいい…」
僅かに潤みかけた目で俺をじっと見て、
「今はテメーに構ってやる。」
口端をきゅっと上げた。
…別に、構ってほしくてしてるんじゃねぇんだけどな。ま、それは別にいいか。
俺は腕立て伏せの姿勢からひばりのこめかみにキスを落とした。
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