平谷村の事件   (昭和6年10月22日)

平谷村教育委員会出版「わが村の文化遺産」より

キモ取り事件

平谷の中心から6キロほど川下に『海』という地籍があります。

平谷川の西は岐阜県、東は長野県という山深い県境で、カクゾウ少年はここにある10軒ほどの集落から学校までかよっていました。

その日は学校が終わったあと親戚の家に寄り、ダイコンを持って帰る途中でした。


木の陰に悪い男と仲間が隠れているとも知らずに・・・・

この男は山奥の製材所で働いており、長い間「性病」で苦しんでいました。


「サル年の男の子のキモを食べると治るらしい。」


そんな迷信を信じ、サル年のカクゾウ少年を付けねらっていたのです。


「ぼうや、魚のいるところを教えてくれんか?」


そう言って近づき、川ふちの木の茂った場所に引きずり込まれてしまったのです。

男は仲間と二人でカクゾウ少年を縛り上げ気絶させました。

そして男は持っていた「サビたカマ」でカクゾウ少年のお腹をかき切ったのです。

あたり一面、血がほとばしり、驚いた男の仲間は逃げ出しました。


男はキモを取り出し口を真っ赤にして食べました・・・まるで獣のように。


現場から30m先の崖に放置されていたカクゾウ少年が発見されたのは3日後で、衝撃と苦しみで目を見開らき木にしがみついたまま硬くなっていたようです。


翌日から警察や消防団が犯人を捜し始めましたが見つかりません。

村民も一人残らず調べられ、特に疑わしい人は拷問にかけられたほどの騒ぎでした。


3ヶ月後、岐阜県から愛知県まで逃げ回っていた男と仲間は逮捕され、2人とも死刑に処せられたといいます。




現場近くの国道沿いに、カクゾウ少年の地蔵様が祀られています。

村民は俗に「大根地蔵」と呼んでいます。