ふ る さ と の 森 づ く り (2)

            地附山(じづきやま)地すべり跡地の植樹

        善光寺裏山の地附山(標高733m)は昭和60年(1985)7月26日に大崩落があり、26名の死者と家屋損壊など大きな被害が発生した。
       その後、現代土木工学の粋を集めた復旧工事が行われてきた。地すべりの傷跡が早く緑でおおわれるよう期待されたが、思うようには
       いかなかった。そこで、平成5年(1993)に緑化計画検討委員会が発足し、早期にコンクリートの法枠(のりわく)が隠れ、傷跡がめだたな
       いように「ふるさとの森づくり」手法でポット苗を植えることになった(長野市誌自然編1997 筆者分担執筆より抜粋)


 地附山地すべり(昭和60年8月1日撮影)

 草の種を播いて表土を保全したが

 コンクリート法枠でがっちりと固めてある

 平成5年から市民ボランテアで植樹

 オリンピック記念植樹で毎年少しずつ

 急斜面はプロの人たちの手で植樹

 高さ40〜50cmのポット苗が5年で数mにも
伸びたが、地下の根はどうか調べる指導者の
宮脇昭博士(後ろ向きアノラック姿)。平成12年11月

根は1.5〜2mにも伸びていた

 せめてコンクリートの法枠だけでも隠れてくれたら
という願いが、もうこんな見事な緑でおおわれて
いる(平成16年5月撮影)

           ふるさとの森づくりーーその後

          下の左図は、ブナの自然林の断面図です。右の図は、信州の裏山にひろがるクリやナラの二次林にもとづいて、この地域は
         どのような極相林だろうかという想像図です
          どんな植物が生えているかのほか、森林は最上層(高木層)をおおう下に、亜高木層・低木層・草本層と3階建て、4階建て
         となっていることがおわかりでしょう。これが自然の森です
          「ふるさとの森づくり」は、できるだけ自然に似かよった近自然の森ができることを目指しています。スギやカラマツの人工林、
         そして都市公園のように、やぶをきらって高木の下は草だけで、ブッシュが何もない林は不自然です

           ともかく、「ふるさとの森づくり」手法でどんな荒れ地も緑でおおうことができました。しかし、密植して早く伸ばすことはできたが、
         これからどう管理していくかはまだ未知数です。雑木林は20〜30年周期で伐採して持続させてきました。クヌギの直径10cm前後
         のものは、茶道で使う菊炭に最適とも聞きます。やぶにするような植樹はだめだと一方的な批判だけでなく、どう地球を緑にする
         かという建設的なアイデアを期待しています

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