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令和元年度 研究概要 (第1部門)

R1-1-1
題  目 酸化チタンの光触媒効果による有機物分解の検証とその利用研究
研究者 飯田高校2学年理数科 課題研究グループ (代表 市瀬 萌)
概  要 光触媒の効果に興味を持ちその応用を試みようと考え以下の通りの研究を行った。【1 光触媒による有機物分解効果の検証】(1.市販品スプレーの触媒効果)光触媒製品での効果をメチレンブルーの脱色で検証した。また分光光度計で透過率と吸光度で測定し数値化した。メチレンブルーの脱色・分解効果を確認することができた。(2.酸化チタン粉末の光触媒効果の検証とコーティング液の作成と効果)粉末状態では効果が認められなかった。コーティング液を自作しガラス面へのコーティング焼成に成功した。自作したものでメチレンブルーの脱色・分解効果を確認することができた。【2 光触媒効果の利用研究】(1.微生物の増殖抑制)大腸菌の培養液を光触媒処理しコロニー数測定により比較し増殖抑制効果が確認できた。(2.汚水中の有機物分解による浄化作用)湖沼から採取した汚水を光触媒処理し、導電率とCODを測定し有機物分解効果を調べた。CODによる結果から有機物分解効果が確認できた。
R1-1-2
題  目 長野県南部地方における特定外来生物(鳥類)ソウシチョウLeiothrix lutea とガビチョウGarrulax canorus の生息状況
研究者 大原 均
概  要 最近、外来種であるソウシチョウとガビチョウは、中国や東南アジア地方に自然分布する鳥であるが、日本では昔、飼い鳥であった。ところが、1980年頃野外で生息する姿が確認されて以降、全国に広がりつつある。そこで、定着しつつある長野県だからこそ、現時点の棲みつき状況を把握しておく必要性を感じ、今回、伊那谷の中央アルプス東側山麓と伊那山脈西側山麓で2種の生息調査を実施した。その結果、ソウシチョウは中央アルプス山麓の駒ヶ根以南と伊那山地の中川以南に生息していることが明らかになった。一方、ガビチョウは伊那山地の豊丘村以北に生息しているだけでなく、下伊那郡下に点在的に生息していることが分かってきた。下伊那の南東部から侵入後北上しているソウシチョウに対し、ガビチョウは上伊那の北東部から侵入したのち南へ広げていると思われる。夏期のソウシチョウは1,200m1,500mのササ植生に棲むが冬は下りてくる。
R1-1-3
題  目 ドジョウの底質環境における体色の変化と河川環境におけるその傾向について
研究者 小坂 亘
概  要 室内でできる実験@に続き野生のドジョウを採集して実際にどのように色素胞が違うのかということを検証してゆく。なるべく、コンクリート張り、自然のままの土手など違う環境のドジョウを採集してその色素胞を観察し、現地の砂の色などの諸情報もかんがみてそのドジョウがなぜそのような色になったかを検証していくつもりである。
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題  目 中部地方領家帯、生田花崗岩を母岩とする神豊太陽タングステン鉱床の生成年代
研究者 田中 良
概  要 神豊太陽鉱床は、タングステンと銅を産出する鉱床で、周辺の地質は領家変成岩と生田花崗岩から構成される。日本のタングステン鉱床は主として山陽帯の花崗岩に伴って生成するが、領家帯に生成する本鉱床は非常に稀な鉱床である。本研究では、鉱床不毛帯とされる領家帯の花崗岩類においても分化が進んだ花崗岩体周辺には鉱化作用があることを明らかにするため、鉱化作用に伴って生じた白雲母のK-Ar年代値を測定し、鉱床周辺に分布する花崗岩類の年代値との比較を行った。その結果は53.9±1.2Ma(約5400万年前)という年代を示した。鉱床付近に分布する生田花崗岩、武節花崗岩はそれぞれ84Ma(Rb-Sr全岩放射年代ami,1973)、78〜75Ma(CHIMEモナズ石年代 鈴木ほか、1994)とされる。今回の年代値はこれらの年代値より30Ma程新しい年代値となった。この違いについては今後検討が必要である。
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題  目 国蝶オオムラサキの研究 2019
研究者 東海大学付属諏訪高等学校 科学部 (顧問 両角 紀子)
概  要 オオムラサキはタテハチョウの仲間で、オスは光沢のある青紫色の美しい翅を持ち、力強い羽ばたきで鳥を追い回すなど人気が高く、昭和32 年に日本昆虫学会によって国蝶に指定された。昭和30 年代にはごく普通に見られたオオムラサキであるが、その後の高度経済成長による里山の消失とともにオオムラサキの姿も見られなくなった。茅野市の豊かな生物多様性や固有種が失われることを懸念し、市街地に近い里山である小泉山を守り後世に繋げたいと考え、4 つの仮説を立てて検証した。その結果、越冬幼虫は静岡―糸魚川構造線の地磁気を感知して越冬すること、羽化は湿度や温度ではなく風速に大きな影響を受けること、光色は蛹色や羽の色彩決定機構に影響を及ぼさないことが分かった。また準絶滅危惧種であるオオムラサキの生態解明と、エノキ自生木との併用で繁殖率を向上させる飼育システムを構築することができた。
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題  目 茅野市の外来植物を利用したバイオエタノールの研究 2019
研究者 東海大学付属諏訪高等学校 バイオエタノール班 (顧問 両角 紀子)
概  要 茅野市は山々に囲まれた豊かな自然環境に恵まれているが、特定外来生物であるアレチウリやオオハンゴンソウ等の繁茂が確認されており、地域の自然環境に大きな影響を与え、生態系を破壊して、地元の里山も大きな被害を受けている。これらの植物はデンプンが少なく、セルロースが多く含まれるが、ここから糖を作り、バイオエタノールを生成することで、刈り取られた外来植物をゴミではなく資源として活用し、地元環境問題の一助を担いたいと考えた。よく乾燥させたアレチウリまたはオオハンゴンソウ15gに、水200mL を加え、圧力鍋で30分煮てセルロースをほぐす。よく材料を絞ってから、0.20mol/L の硫酸300mL を加え1 週間常温に放置して、前処理を行う。水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、セルラーゼ3gを加え、40℃の恒温槽で1週間糖化させ、さらに5gの酵母と5gの砂糖を加え密閉し、45℃で1 週間発酵を行った結果、0.3%のバイオエタノールを生成することに成功した。
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題  目 南アルプス鋸岳稜線において、ハマウツボ科の新種の可能性が高い個体を採取し、検証及び解析することで、その個体が新種であるかを立証するための調査である。また前回の調査で亜種と思われる個体についても調査するものとする。
研究者 長野県希少生物保全調査会  竹重 聡
概  要 2018年の南アルプス北部で、信州大学自然環境診断マイスター有志の長野県希少生物保全調査会で行った野外調査において、全体黄色のオニク属植物が発見された。この日の調査メンバーは、五味直喜、木下義彦、佐藤仁昭、宮澤豊、酒井志磨、竹重聡の6名である。同様の植物は、2019年の調査においても同地域内の別地点で、首都大学東京牧野標本館の菅原敬先生に参加して頂き確認された。調査会は希少生物環境維持のため、長野県と情報を共有、生物多様性の保全活動に取り組む会である。この植物は赤褐色を呈するふつうのオニクと同所的に出現しているが、萼や花冠がすべて黄色でないため、容易に識別できる。花序の特徴、雄芯の配置、萼や花冠等の花形態を詳細に比較検討したところ、オニクの色変わりではないかと考えられたため、新品種キバナオニクと命名して記載、2020年3月岐阜大学植物分類学会で発表した。
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題  目 飯田市上郷飯沼の天竜川とそれに隣接する田園地帯へ季節的に飛来するサギ類について
研究者 前 裕治 (共同研究者  鈴木 球代)
概  要 長野県飯田市上郷飯沼地区には、天竜川沿いに田園地帯が広がっており、サギ類は、採食場所として複数種飛来することが期待できる。そこで本調査では、ここを調査地とし、飛来したサギ類の種数や羽数、利用されている場所の環境について調べている。また、サギ類が夜間集まるコロニーを調査地付近で見つけるとともに、繁殖が確認されている伊那市春日公園のコロニーでのサギ類の観察も行っている。現在、調査を進めている段階ではあるが、調査地へ飛来するサギ類は5種確認でき、種数ならびに個体数は季節的に変化することがわかった。また田園ではドジョウが主にエサとして捕食されていた。調査地近隣でコロニーは確認できたが、繁殖には利用されていなかった。しかし、伊那市春日公園のコロニーでは多くのサギが繁殖していた。来年度は今年度の結果を踏まえて、サギ類の生態について、より詳細に知れることができるように調査を進めていく。
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題  目 南信地方でのニホンイシガメの生息状況を把握する調査
研究者 前澤 勝典
概  要 今回の調査研究にて、2019年9月に二ホンイシガメ(以下、イシガメ)の当歳の子亀を一個体、また2020年9月にイシガメの若い個体(4 歳)を捕獲、確認することができた。2019年の調査地では確認直後に、長野県に多大な被害をもたらせた台風19号による増水によ り、残念ながら、その一帯の環境が全て流失してしまった。2020年9月に南信地方で罠掛け調査を行ったところ、イシガメ一個体を捕獲することができた。更なる個体確認のため、同地で続けて罠掛け調査を行ったが、新たな個体確認はできず、2021年にもイシガメの活動期を考慮しつつ調査を重ねたが、新規のイシガメの確認はできなかった。今回の調査から、南信地方では二ホンイシガメがまだ絶滅していないことが確認できたが、ごく少数の個体が確認される程度で、累代的に種を維持していくために必要な個体群を形成できているかは疑問であり、その生息数は著しく少ないと思われる。
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題  目 長野県におけるアオバズクの生息状況と生息適地の解明
研究者 松宮 裕秋
概  要 アオバズクは個体数減少が著しいフクロウ科の鳥類であり、長野県のレッドリストでは絶滅危惧TB類に選定されている。しかし、県内での生息状況の実態は明らかでない。本研究では本種の保全のための基礎情報を蓄積することを目的として、県内での生息状況と生息に適した環境条件を解明した。生息状況調査の結果、県内の23地点(北信6地点、東信1地点、中信11地点、南信5地点)の孤立林で本種の生息を確認した。その確認地点のほとんどは社寺林であった。2017年に行った同様の調査の結果と比較すると、新たに3地点での生息を確認した一方、9地点で生息が確認されなくなり、生息地点が減少傾向にあることが明らかになった。また、生息適地解析の結果、幹回り300cm以上の巨木が多く存在する孤立林ほど、本種が生息する可能性が高いことが明らかになった。本種の保全には巨木を有する社寺林を保存していくことが必要だと考えられた。
R1-1-11
題  目 墓石地震学への挑戦 〜大阪府北部地震・北海道胆振東部地震から善光寺地震へ〜
研究者 屋代高等学校 課題研究地学班 (指導教諭 大石 超)
概  要 2018年に発生した内陸型地震である大阪北部地震および北海道胆振東部地震を現地調査対象として、墓石転倒率・灯籠転倒方向を調べ、震度・地形地質・震源断層・地下応力等について考察した。地震計による観測よりも調査地点が多いため、より詳細な震度分布を作成する事ができる可能性を明らかにした。また、1847年善光寺地震に関する古文書資料より墓石・灯籠の被害記録を収集した。その結果、長野市では震度7相当、広域な範囲(上田市・松本市・大町市・新潟県高田市)で震度5強以上の強い揺れがあり、長野盆地西縁断層系が逆断層タイプのずれを起こした地震であった事の新たな証拠を発見した。歴史地震を、墓石地震学の観点から古文書を用いて調査した初めての研究である。
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題  目 飯田・下伊那のトンボの生息状況(今を記録する)に関する研究
研究者 山田 拓
概  要 飯田・下伊那(中川村を含む)の43市町村(昭和の大合併前)をくまなく調査することにこだわり、143日調査した。その結果、71ポイントの再・新確認が出来た。伊藤(1960)との比較で見ると、1227ポイントから1535ポイントへと増加しており、精度はかなり上がっていると考えられる。しかし、いまだに、セスジイトトンボ、コシボソヤンマ、ハネビロエゾトンボ、タイリクアキアカネ、マイコアカネ、ハネビロトンボ、オオギンヤンマの7種の確認ができていない。あと1年で、これら7種を含めて、未確認数を減らしていきたい。今回の調査で特に目立ったことは、クロサナエ、マルタンヤンマ、アオイトトンボ、アオハダトンボ、ホンサナエ、オジロサナエの再確認、新確認が出来たことと、逆に、アサヒナカワトンボ、ムカシヤンマ、カトリヤンマ、アオサナエを一度も見なかったことだ。

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