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平成27年度 研究概要 (第1部門)

H27-1-1
題  目 北ア・穂高岳涸沢の雪渓とその変動 〜信大生による調査(since 1968)から今日まで〜
研究者 神田 健三
概  要 氷河と同様、日本の山地の雪渓は気候の変動の影響を受けて変化する。現在、山地の雪の観測はほとんど行われていない中で、雪渓の年々の規模の把握は気候変動の指標としての意味がある。北アルプスの穂高岳涸沢の雪渓について、筆者が信州大1年生だった1968年に学生の自然科学研究会で調査を開始し、以後、19年間継続された。その後もセスナ機による空撮等で写真を収集し、1967年から2014年までの48年間の秋の終わりの雪渓規模の記録を整理した。その結果、(1)1968年頃、雪渓は大きかったが、90年代から2000年代前半に小さくなり、消滅も相次いだ。地球温暖化との関係かと注目している。しかし、その後大きく回復する年もあった。(2)冬の寒波の強さを「寒波指数」で表し、その年々の変動と雪渓の年々変動を対比させて検討した。その結果、涸沢の場合は雪渓が大きな「涵養年」は、寒波指数が大きい年だけでなく、寒波指数が極度に小さい暖冬の年にも起ることがわかり、涸沢雪渓の涵養への南岸低気圧による降雪の役割が少なくないと考察した。
H27-1-2
題  目 木崎流紋岩礫の分布から見た古千曲川の流路
研究者 清水 岩夫
概  要 十日町市を経て日本海に注ぐ千曲川は,かつては上越市側を流れ日本海に注いでいたことが堆積物の分布などから明らかになっている。北部フォッサマグナ地域の礫層の追跡調査を行うことによって,堆積物を供給した“古千曲川”がいつ頃,どのような要因によって現在の経路をたどるようになったかを解明することは,この地域の地形・地質発達史を明らかにしていく上で大きな意味がある。調査地域内の各露頭において1u内の礫を大きい方から100〜200個採取し,礫種の同定や礫の長径の測定,礫の覆瓦構造(インブリケーション)の測定を行った。また,インブリケーションから古流向を復元し,礫の供給方向を求めた。その結果,地域や時代によって礫種や礫径,古流向などに違いがあり,特に,供給源が限られる木崎流紋岩や,時代を特定することが可能な大峰型溶結凝灰岩などの混入状況の違いから,供給方向の概要をとらえることができた。
H27-1-3
題  目 信州における近世天文学の発展
研究者 陶山 徹
概  要 本研究では北信地域に現存する星図や望遠鏡の歴史を調べた。長野市鬼無里の鬼無里ふるさと資料館には和算や暦に関する資料が収蔵されている。その中に一つの星図がある。本研究ではこの星図に描かれている星座の数や位置などを詳細に調べた。その結果、星座の位置や星図の形式に誤りがあることがわかった。この星図の製作者は天文学の深い知識はなかったことが推測される。また、長野市立博物館に収蔵されている望遠鏡について調べた。この望遠鏡は100年以上前に作られた望遠鏡であり、日本に存在するガラス製反射鏡の中では最古級のものである。長野市立博物館には望遠鏡に関連する資料も収蔵されている。本研究ではこの書類やメモを調査し、望遠鏡の経緯を明らかにした。
H27-1-4
題  目 長野県北西部神城断層の近隣で発生した歴史地震の高精度年代測定
研究者 畠山 幸司
概  要 神城断層近傍には,大規模な地すべりや崩壊跡が多く分布している.本研究は同断層付近で過去に発生した地震の年代を明らかにすることを目的として行ったものである.地震を誘因として発生したと判断される奥裾花地すべりにおいて,堰止め湖の湖底堆積物中から埋没樹幹を採取して14C ウィグルマッチングによる年代測定を行ったところ,最外年輪の年代が1σ暦年代範囲において1592-1612cal AD(68.2%),2σ暦年代範囲において1586-1626cal AD(95.4%)となった.この年代は1586年天正地震とほぼ合致する.また,同じく地震に起因すると考えられる真那板山崩壊において,湖底堆積物基底から小枝を採取して14C 年代測定を行ったところ,1σ暦年代範囲で1444-1480cal AD(68.2%),2σ暦年代範囲で1437-1513cal AD(87.2%)・1601-1617cal AD(8.2%)となり,天正地震頃の可能性も残るがむしろ1502年越後南西地震に対比される可能性が高い結果となった
H27-1-5
題  目 日本における第四紀サイ科化石の分類学的再検討
研究者 半田 直人
概  要 日本では第四紀からサイ科化石が発見されている。これらは中国大陸から渡来したとされており、それらの種類が明らかになれば、日本列島と大陸との間で生じたとされる移動時期について、議論することが可能となる。本研究では、調査の不十分であった栃木県葛生および岡山県備讃瀬戸のサイ科化石の分類を検討した。さらに従来の研究結果とあわせ、第四紀の日本におけるサイ科の古生物地理を考察した。本研究および先行研究の結果、日本の大部分のサイ科はヨーロッパおよび中国北部にかけて広く生息していたとされる絶滅種Stephanorhinusあるいはそれに比較されると考えられる。さらにこれらサイ科化石が見つかる地域では中国北部の動物群に対比される動物化石もあわせて発見されている.したがって、日本の多くの第四紀サイ科化石は中国北部に起源すると考えられ、およそ43万年前の時期に渡来した可能性を示唆する。
H27-1-6
題  目 チョウたちの越冬の秘密
研究者 松下 陽音
概  要 3年生の時チョウの越冬について研究し,チョウは種類によって寒い冬をこす方法は違うけど,上手に冬をこして春になって羽化していくことが分かった。種類によって違う越冬の不思議な仕組みを解明してみたいと思い研究を始めた。仮説を立て,実験して確かめていった。ツマグロヒョウモンの幼虫は寒さというよりエサをあまり食べられないと成長が遅くなり,6齢幼虫が脱皮しても蛹にならずに7齢幼虫になってしまうことがわかった。幼虫が5齢のあと蛹にならずに,脱皮しても幼虫でい続けようとするのは,蛹では越冬できる可能性が低くなるからなのかもしれないと思った。モンシロチョウは,日照時間が短くなることで休みんする蛹になることがわかった。いったん休みんした蛹は,休みん中に寒さを経験してもしなくても,ある一定の期間あたたかく(気温が高く)なると休みんから覚めて羽化することがわかった。
H27-1-7
題  目 長野県を中心とするタイコウチ科希少昆虫類におけるハビタット間の遺伝子交流の検討比較
研究者 谷野 宏樹
概  要 止水棲水生生物は、近年の河川改修や圃場整備などによって生息環境が激減していると考えられる種群である。止水棲生物におけるハビタット間の遺伝子交流を検討することで、止水棲生物がおかれている現状を把握できると考えられる。本研究においては、主にタイコウチ科昆虫を材料とし、長野県内広域にわたる調査を行った。その結果、タイコウチ科昆虫と近縁なコオイムシ科昆虫とあわせ、タイコウチ上科昆虫では、分布と標高の関係に種間の違いはみられず、県内広域に分布していることが分かった。また、申請者はタイコウチ科昆虫の日本列島―大陸間における広域スケールでの分散について検討を行ってきた。本研究においては、不足していた長野県周辺地域の個体を解析に追加することで、ファインスケール(詳細スケール)における移動分散について検討を行った。その結果、タイコウチにおいては、東日本から西日本へ分散した可能性を示唆する結果が得られた。

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