栗原 亨『樹海の歩き方』  

 『廃墟の歩き方』 (探索篇、潜入篇)を出し、ナンバーワン廃墟系サイト<廃墟Explorer>を運営する栗原 亨さんが出した樹海探索本。「樹海でコンパスは狂うのか」 「一度入ると出られないか」「携帯電話は使えないか」「心霊現象はあるのか」等、樹海の真相を解明すべく樹海奥深くへ著者は足を踏み入れる。ま、その真相 は伏せとくけれども、圧巻は発見した遺体の詳細だ。人知れず朽ち果てるという印象とは異なって、読むに耐えない遺体の状況への記述が続く。特に「服毒自 殺」を試みた女性の遺体がなぜ全身の骨が散乱することなく綺麗に残っているのか?著者の推理はたぶん間違いないだろう(P.141)。著者たちは2年近く 36日間探索して37体の遺体と遭遇した。一見数多いように見えるけれども6人ものグループで分かれて横に“面”で移動して1人5キロも探索する上、彼ら は探索のプロであることを考えると、ちょっと足を踏み入れたくらいで遭遇することなどありそうにない。遺体の発見数は年間6、70人程度で平成15年に 100人を越えてるのは著者たちのグループが21人を発見した数字が含まれてることを除いても増加傾向に間違いない。探索本と謳う分、樹海探索に必要な装 備、注意事項、実際に起こったアクシデントと徹底的に実用的な本で、断じて自殺幇助をする本ではないことは保障できる。ちなみに遺体の安置、運搬、火葬、納骨までに6〜10万円の費用がかかるそうで年間数百万円が自治体負 担になってるそうだ。どうしても死にたいのなら、樹海に入る前に鳴沢町役場、上九一色村役場、富士吉田署に十万円送ってからにして欲しいも のだと著者が言うのは尤もだね。最後に“樹海の真実”と銘打って袋とじグラビアが付いている。「非常に衝撃的な写真も含まれるため、心臓の弱い方はご遠慮 下さい」とのキャプションあり。当然、そっち系統の写真でしょう。そういう趣味ないんで見ませんでしたが (2005.5.27)。

関連サイト:廃墟Explorer外伝  「樹海Explorer&死体に誘われ隊」 廃墟Explorer内のページ
       樹海のおとしもの                   探索メンバーの一人“ウシロメタサ”さんが管理するサイト                      
イーストプレス(1500 円+ 税、2005.5)