***Bowlie Weekender*** このフェスティバルは、今や伝説になっている。
1999年4月にあのBelle&Sebastianが主催した、イギリス史上初(?)の室内、宿泊付きフェスティバルだ。
私がこれに行くまでには人知れずの葛藤やら苦労話やらがあった。
その頃、Londonの日本料理屋で働いていた私は、偶然見たNMEに載っているこんな記事に目を奪われた。
‘コーネリアス、パステルズ他出演、ベル&セバスチャン主催のインディードリームフェスティバル開催’
その頃コーネリアス大好きでパステルズを聴き始めた私にとって、‘その2組だけでも行かなきゃ後悔するな!
日本じゃ見れないよ!’という感じだった。 実はその頃ベル&セバスチャンなんてほんのちょっとしか知らなかったのだ。
(今では考えられないよ!) それからすぐにチケットはSOLD OUT。私はあせってチケット屋に電話した。
‘7人用シャレーならありますよ、550ポンド(約10万)ですけど。’‘げろーん!でも取らなきゃ!後悔するよ!’
そして私は独断で即買ってしまった。 料理屋の社員だったのでお金の心配は無用、でもあとの6人はどうしよう?
会社には何て言い訳しよう?結局会社には凄く怒られクビになりかけた。(下っ端が週末休むんだもんね、無理ないか。)
でもチケットの欲しい人は沢山いたみたくて、残りのメンバー6人はすぐに見つかった。
そんなこんなで何とか無事に当日がやってきた!
23th/April/99'
(Fri)
今日も相変わらず曇りのLondon。一緒に行く皆とはお昼に待ち合わせた。
メンバーは、この日の為に日本からやってきた千葉在住の双子のくーちゃん、ふーちゃん。
ブライトン在住のゆきみちゃん、London在住の女の子二人、私の6人。
皆indie-pop好き特有の優しい雰囲気が漂っていてすぐに仲良くなれた。
Ryeまでは電車で、その後タクシーで会場まで。田園風景のきれいな小さな古い街Rye。
会場は‘Pontin'という名の宿泊レジャー施設で、敷地内にはステージやインフォメーションのあるビル、
その隣にパブ、小さな公園やゴーカートなんかもあって、シャレーの大群が奥にずーっとある感じ。
小さなスーパーマーケットもあって、なんだか小さな街みたい。
そしてこれから3日間、私達はそこの住人!ってわけ。早速小さなスーパーで沢山食べ物を買って、シャレーで料理する。
シャレーのキッチンにはオーブンもあって、ピザまで焼けるんだよ!すぐに夕方。私達はステージに向かった。
今日はStage1だけみたい。
今日のステージは・・・
Stage1 V-twin
The
Delgados DJ***Justin Spear&Tim Gane
Teenage
Fanclub (Stereolab)
チェックインの長い列ではBelle&Sebastianが待ってる皆の為にちょっとした演奏をしていたみたい。
私達は見逃しちゃったけど、こんな所に彼らのやさしさが凄く出ていると思う。
今回の出演バンドはほとんどがGlasgow出身、または彼らの友達らしい。
本当に素敵な所なんだろうな!さっきもGlasgowからの貸し切りバスが着いて、
たくさんのインディーキッズ達が出てきた。ミュージシャンもそれを慕う人もそれぞれ
リスペクトしているんだろうな、Glasgowでは。
ステージ1の最初はV-twinの予定・・・が明日に繰り越されて、Teenage Fanclubになっていた。
彼らのライブは始めてだったけど、何とも言えない優しさや愛があふれていて、思わず微笑んでしまう。
絶妙なコーラスにキャッチーチューン、でもパワフル。MCも凄く親しみが持てた。
この日ノーマンは鉄琴を使っていて、それをおもちゃで遊ぶ子供みたく演奏していた。
おなじみのキャッチーナンバー(About YouやSparky's Dreamなど)を沢山演奏してくれて
会場は幸せな熱気と興奮に包まれた。このフェスティバルの始まりにはピッタリだった!
続いてThe Delgados。同じくGlasgow出身だけど、Teenageとはちょっぴり違う音楽性。
物悲しくて美しいメロディーの中に反骨精神をのぞかせているバンド。
二つのアコースティックギターにエマとスチュワートの声が重なり、
ストリングスやドラムが重なってゆく。とても綺麗なけだるさを感じた。
Pull The Wire From The Wallなんてとても良かった。感激。
今日のステージは押しちゃった為に2つだけだったけど、バンドの合間のDJもとても良かった。
カヒミと小山田君のデュエットバージョンの‘Son Of A Gun'も流れたし。
ふとDJブースを覗くとそこにはPastelsのステファンとカトリーヌがいる!
私達が手を振ると振り返してくれた! キャー! か・ん・げ・き・
ミーハーな私達でした。 その夜はとても疲れたので、早めにシャレーの2段ベッドで寝ました。
24th/April/99' (Sat)
実は今日は私の誕生日です。こんな楽しいフェスで祝えて嬉しい限り!
今日はパステルズのステージがあるもーん!私の為に演奏してくれるんだ!(笑)
外は相変わらずのどんより。でも少しの日差しが嬉しい!
朝ご飯を食べて私達はビーチへ向かった。ビーチへの道を行くと目の前に砂山が・・・。
というか砂の丘。不思議な光景。でもそこを登って行くと海が見えた!
日本ではあまりお目にかかれないクリーム色の綺麗な砂浜に遠浅の海。
とてもきれいなんだけど、寒い。曇ってるので何だか寂しい。あまり人も居ない。
でも私達は砂浜に絵を書いたり、シャボン玉をしたり、散歩したりしてここCamber
Sandsを満喫した。
さて、今日のステージは・・・
Stage1 Sodastream Stage2 Looper
A C Acoustics Camera
Obscura
Sleater−Kinney Vic Godard
Jon
Spencer&Blues Explosion Mystery Guest...
The Divine
Comedy The Pastels
The Flaming
Lips
DJ***SteveLamacq,Warp,Cinema,Stereolab
今日はバンドが目白押し!でもステージは同時進行なので見れないバンドもあるけど仕方ないね。
まずBowlieショップでTシャツを沢山買う。Bowlie-T、Pastels-T、Cinema-T、AC
Acoustic-T
PastelsバッジとTrattoriaのコンピレーションもゲット。皆手作りな感じでとてもかわいい。
ショップにはメッセージボードもあって、色んなメッセージがあった。‘僕達のシャレーでパーティーをします!’
とか‘ポール!どこにいるの?’とか。微笑ましいな。 そしてふと見ると、なんとカジ君を発見!
ここでもミーハーな私達は嬉しくて一緒に写真を取ってもらう。あー、さすがBowlie・・
・さっきはCorneliusバンドのドラムの人も見たよ。来て良かった・・・。
さて、まずSodastream。メンバーは6人位いて、バイオリン、チェロなど楽器を多数使用。
学生バンドって感じで演奏はちっともうまくなかったけど微笑ましいバンドだった。
LooperはB&Sのスチュワート・デイヴィッドと奥さん、友達のユニット。
スチュワートはお医者さんの格好をしていて、映像を駆使してゆるーい打ち込みを気ままにやっていた。
AC
AcousticsはGlasgowの古株らしい。何だか懐メロみたいで私は好きではなかった。
Camera ObscuraとVic
Godardは見れなかった。ゆきみちゃん達によると、Cameraはとても可愛くて、
Vicはおじさんだった、とのことだ。でも彼はB&SのIsobelのお気に入りらしい。
私はといえば、Sleater-KinneyとJon Spencerを見ていた。ちょっぴりパンクが必要だったのだ。
Sleater-KinneyはアメリカのKill Rock
Starsから出ているの女の子3人のバンド。
ルックスも可愛いし、音はガレージっぽいRiot
Girlで、私はとても大好きなのだ。
ベースレスで2本ギターを掛け合いながら澄んだ声でどなりちらすのがたまらない。
女の子達だけとはいえ、とてもパワフルなステージだった。 続いてJon Spencer・・。
相変わらずのスパンコール衣装でそろえて、ゴリゴリとブルースを破壊してた。(笑)
私はベースのジュダが個人的にとても好きなので、彼をかなり満喫していた。
彼らはこのフェスでは一番の暴れ役でした。楽しませてくれてありがとう兄貴!
さて、ステージ2のミステリーゲストはMogwaiだった。最近のGlasgowでの注目新人らしい。
今や日本でも大人気の彼らだけど、その頃は誰も知らなかった。覗いて見ると、
ちょっと太目の老け顔の連中が(かなり失礼)ステージ上で何やらやっている。何かの本を読み上げて、
観客と盛り上がっている。何を言っているか聴き取れなかった。音的には非常に重い音を出していて、
演奏はとてもうまかったように覚えてるだけ。続いてThe Pastels! 私はステファン・パステルの顔と声が
とても好きなので、彼が居るだけで良かった。一回Londonでgigを見た時には居なかった、AgiもTimも皆居た。
相変わらずの優しい曲達。演奏の下手さなんてどうでも良かった。
彼らの歩いてきた道のりを他のファンの皆と一緒に祝福した。今までで一番あたたかくて平和なステージだった。
Stage1ではDivine
Comedyが協奏曲ディスコポップチューンを演奏していた。
黒のジャケットでとてもきまっていた。楽しかったけどFlaming Lipsが見たくて移動。
えっ!なに?彼らの事は良く知らなかったけどこんなに面白いバンドなの?
だってボーカルのウェインはピーコート着てて、歌いながら顔に血のりをたらしてるんだもん!
他にもカエルのパペットやシスターの人形、紙ふぶきに映像・・・凄いや!
かといって、曲も凄く壮大で感動を呼ぶし・・・。始めて見たけどほんとにびっくりだった。
第2日目の夜もこうして更けていった・・・
25th/April/99' (Sun)
何だかんだでもう最終日・・・。楽しい事は早く過ぎるもの。でも私達にとっては今日が勝負の日!
CorneliusとMercury RevにBelle&Sebastianだもんね! 私達はぐっすり寝てお昼頃起きて、
また散歩がてらにビーチへ行った。
その途中で私達のアイドル小山田君を発見!でも恐れ多くて声もかけられない小心者4人。
ビーチは相変わらずの天気だけど、やっぱり良い。海は広いし、大きいし・・・。
シャレーのベランダから下の庭を見ると(私達は2階だった)皆、芝生の上でサッカーしたり、
ご飯食べたり、昼間から飲んだり・・・とても平和な空気が流れている。
私達も負けずにシャボン玉を吹きまくる。そんな私達を見ていた人もいて、友達になったり。
さて今日のステージは・・・
Stage1 Ladybug Transistor Stage2 The Amphetameanies
Cornelius
Cinema
Broadcast Salako
Mercury
Rev Dean&Sean
Belle&Sebastian God
Speed You Black Emperor
DJ***John Peel,Chris(B&S),Jarvis
Cocker,Steve
Mackey
今日のステージは何だか混乱していて、LadybugとCorneliusが交代していたのでびっくり。
今日の小山田君もテルミンやら鍵盤やら映像を駆使してロックしていた。
映像と音楽がベストマッチだったり、テルミンで観客を沸かせたりしているのを見ると、
なんだか同じ日本人で良かった!ととても嬉しくなってしまった。
隣の子が‘これってCornelius?'と聴いてきた。‘うん、’と答えたけど、
彼はどう思ってたのかな?とりあえず、Corneliusを満喫してステージ2へ移動。
The
Amphetameniesは水玉の衣装を着た女の子のいるスカバンドだった。
Cinemaはパステルズの友達らしくて、同じ音を想像してたら何かドラムンベースっぽくてびっくり。
SalakoはGlasgowの若いギターポップバンドで、得に感想は無い。
他のDean&SeanとGod
Speedはステージ1とかぶってて全く見れなかった。
さて、いよいよ大詰めです。ステージ1ではBroadcastが演奏しています。
彼らの事は全く知らなかったけど、サイケな映像と神秘的な音とボーカルの女の子の澄んだ声、
その子のカッコ良さに完全にやられてしまった。実は疲れて壁際で休んでいたけど、ずっと魅了されてた。
本当にこのバンドは新しい発見だった。今でも凄く好きなバンド。
Mercury
Rev。CDを聴いて好きになったけど、この時私はなんとスピーカーのまん前に居たのだ。
想像してもらえればおわかりのように、具合が悪くなっただけだった。(泣き笑い)
遂に大トリBelle&Sebastianのステージだ! 私達4人はなんと一番前のスピーカー寄りで見ていた。
とにかく観客の声援が凄くて、当のバンドはとても繊細な音や声だったことを良く覚えてる。
あと、スチュワートは真っ白なTシャツを着ていたことも。 そうだ、あと、ステージが暗くて
誰がどこに居るか良く分からなかった事も。はっきりいってその頃‘The Boy With
The Arabstrap'しか
持ってなかった私には何の曲だかちっとも分からなくて、皆の歓声に合わせて拍手していただけだった。
でも、あの声だ!あの消え入るようなスチュワートの声だ!
ってのがとても感激したし、彼らの完璧な音作りと親しみやすいMC、観客の皆のスマイルが
私をとても幸せにしてくれた。確か、‘Slow Graffitti'で始まって、Lazy Line
Painter Janeで終わったっけ。
いや、彼らは最後に‘Kids Are Allright'をやったんだった!Whoのあれを!彼らなりの
‘Kids Are Allright'は、メロディカありの、タンバリン有りの、でもドラムははじけていて、
とても楽しかった。それが終っても、皆拍手を止めなかった。でも皆知ってるように、
B&Sはアンコールをやらないんだ。優しい余韻を残して全てのステージは終ってしまった。
シャレーに帰る途中で、ふーちゃんくーちゃん、ゆきみちゃん、
このフェスを一緒に楽しんだ4人でブランコをこいだ。全てが終っちゃった寂しさを消す為に。
BowlieのビデオでJarvisが言っていたのは本当だった。
‘このフェスは何もかもが新しい。皆多分、1年たってようやくこのフェスの凄さを実感するよ。
今はただ楽しむのに精一杯だけどね。’それは本当にそう。
今考えると、私達4人はとても貴重な素敵な週末を過ごしたのだ。
そしてこのイベントを考えてくれたBelle&Sebastianに、私はここからはまってゆくのだった・・・
***Thanks For Bowlie***