タイガーミルク
tigermilk
セバスチャンは、地下鉄のヒルヘッド駅でイゾベルと出遭ったんだ。
ベルは最初、セバスチャンをどぎまぎさせたけれど、
彼にとってそれはとてもラッキーな出来事だった。
彼女は陽気で楽しくて、そして素敵な声で歌う事ができた。
思っても無かったけれど、セバスチャンは感傷的だったから。
彼は近所のスーパーマーケットにミュージシャン募集の張り紙をしていた。
そう、ベルはそれを見ていて、彼に興味を持ったんだ。
ベルは彼を見つけるや否や近づいていってこう話し掛けた。'ちょっと、あなた!’
そしてギターを教えてくれないか、と頼んだんだ。
セバスチャンは、自分が彼女に教える事なんて何も無いと思った。
でも彼女の情熱に負けてこう答えたんだ。’はい’ってね。
それはとてもおかしな出来事だった。
だってセバスチャンはもう諦めかけて
ワンマンバンドを始めようと思っていた矢先のことだったんだから!
そう、いつも何かを始めよう決めた途端に、何か別の事が起こるんだ。
セバスチャンは最近、キツネと仲良くしていた。
なぜならここのところ、新しい友達なんて全く予期していなかったから。
彼はまだキツネを大事にしてたけれど、確かに何か新しい事が始まろうとしていた。
それから彼は突然たくさんの曲を書き始めた。
うん、彼の素晴らしい曲達は1995年にたくさん書かれたんだよ、
それを証拠に曲中に’1995’という言葉が入っているだろう?
彼はちょっぴり気になっていた。
1996年には何が起きるのだろう???
2人は、ベルの家で曲作りをしていた。
彼女は両親と同居の、ピアノを持つ余裕のある家の娘だった。
それは、家の奥にある庭を見渡せるピアノ部屋にあった。
そしてここは、ベルがセバスチャンにマスカラの付け方を教えた場所でもあった。
もしベルのママがこの事を知ってたら、きっと嬉しくはなかったろうな・・・。
ベルはギターレッスンに月謝を払っていた。
レッスンはセバスチャンの生活に何かしら影響を与えていた。
だって彼は、床屋さんに散髪に行ったんだからね!
ベルとセバスチャンは変な関係ではなかった。
時々2人は手をつないだけれど、それはただの公共常識としての見せかけだった。
セバスチャンはベルの事を‘大雑把な子’みたく思っていた。でもそれは違うよ。
だってもう彼には悲しみだらけのバラードなんて考えられなくなってたから。
ベルがポピュラーな音楽を聴いてたのはラッキーだった。
そう、彼がピクルスなら、彼女はチーズみたいな存在なんだ。
ベルとセバスチャンは、物事をたいして気にかけていなかったけど、
一方で次の食事の心配をする必要もなかった。
ベルの最新作は‘Rag
Day'、セバスチャンのは‘The Fox In The
Snow'になる。
そしてある時2人は、バンド結成を目的に、
お気に入りのカフェで丸々三日間を過ごしたことがあった。
君は‘Magnificent7'を見た事があるかい?
それはまるでそんな感じだった、いや、もっと退屈だったかな。
2人はいくらか体重を増やしたうえに、何人かのウェイトレスを敵にまわしてしまった。
ベルは大学では高いレベルに属していた。でもそんなのはてんで興味が無かった。
セバスチャンは見た目より若くはなかった。そして見た目より、でくのぼうだった。
でも優しい心を持っていた。そしてベルに不必要な世話も焼いた。
もしも彼が音楽をやっていなかったら、きっとバスの運転手をしているか無職だっただろう。
いや、きっと無職のほうだ。
ベルは何だってできただろう。
可愛らしい女の子にはいつも、たくさんのドアがひらかれているんだからね・・・。
Belle&Sebastianの1stLP
についてるこのお話は、きっと
半分本当なんじゃないかと思う。
スチュワートとイゾベルの出会い
をうまくストーリーに仕立てた
見たいな気がしてならない。
実際にHillhead駅に行ったよ。
本当にそんな出会いがありそうな
こじんまりしたかわいい駅だった。
そしてそのすぐそばに、
カフェがあるんだ。
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