特別支援教育がいよいよスタート、
                     小出先生に直接お目にかかり、
                    子ども主体の学校生活づくりについて、
お話をお聞きしたいと千葉へ行ってきました。
                        (長野県生活中心教育研究会 事務局 小林)
 
〜小出 進先生のお話から〜 
 
     平成19年2月23日(金)
    於:千葉大学附属養護学校 
    第34回公開研究発表会シンポジウムにて
 
 
 
 子どもと共につくる、子ども主体の学校生活をめざして
 ―子どもが学校で豊かに生活するための基本条件=教師の子供観・教育観―
 
1 子どもは、学校における単なる教育対象ではなく、学校生活の主体者である。
  〜させる、〜やらせる、〜伸ばす、〜生かす等々横柄な言い方をしたくない。
 
2 できない子どもではない。できない状況におかれがちな子どもである。 
  できる状況づくりが行き届けば、どの子もできる子になる。
 
3 子ども一人一人の様子を肯定的に受け止めたい。
  しない・できないの「ないないづくし」で子どもを非難するのはやめよう。ちょっとした  子どもの様子を「実態」などと大げさに言いいたくない。「特性」などと決めつけないで。
 
4 たとえ知的発達に障害があっても、生活年齢相応の対応をも大切にしたい。
   特に青年期には、生活年齢相応の対応を。
 
5 学校、学級、社会において、どの子もかけがえのない存在である。どの子も
  かけがえのない存在となる状況をつくることに努めたい。
   どの子が欠けても、楽しさが減り、さびしさが増す状況や関係をつくりたい。
 
 校長時代、大腸ガンで入院。全校朝会で、子どもたちに伝える。
「おなかの中に悪いものができたので病院へ行って切ってもらいます。しばらく休みします」と。 一人の女子生徒が、うつむいて側に来て「校長先生、きっと戻ってきてください。わたし待ってます」と言ってくれた。そのとき、だれよりも子どもに支えられていることを実感した。これ以上ない優しい思いやりに支えられていたことに気付いた。
 共に生活し、感じ合い、分かり合い、支え合う子どもと教師でありたいと思う。
  
 授業研究会で本校にお邪魔していたときのこと。お漏らしをした女子生徒に、「まあよかったわね。たくさん出て楽になったでしょう」とにこにこしながら、後始末をする教師の姿に学んだ。 これこそが共感的な理解、共感的な対応である。私自身が、子どもたちに学び、先生方から学んでいる。
 
 
 教育では方法論や技術論よりは、教師である支援者の感性が問われる。
 誠実な思いや感性の伴う支援に心掛けたい。
 
  
 教育には、科学的側面と創造的な側面がある。創造的側面の独自性は普遍性に通じる。
 教職員一人一人の創意(クリエイティブ)がみんなの総意(コンセンサス)となりやすい学校においてこそ、子ども主体の豊かな学校生活が実現する。
 





 

  −春風化雨−
 春風は、おだやかな春の風。化雨は植物が育つのにほどよい雨。
化には導き変える−感化の意味がある。転じて、春風化雨とは、よい教育の意味。
                   四字熟語博覧辞典(日本実葉出版社)
 








 

どの子もいないとさびしい
どの子もいないと困る 
どの子もいてくれて助かる
どの子もいてくれてありがたい
そう思える状況をつくりたい
そう思える関係でありたい 
       (長野県飯田養護学校で 小出進書)
 
 
 
                    以上、掲載につきましては、
                    小出 進先生の監修と了解をいただきました。