暴力団対策法

 平成4年に施行された「暴力団対策法」(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)は、民事介入暴力など、いままでの法令では対処が困難であった犯罪行為に至らない暴力団員による不当要求行為等を行った指定暴力団員(公安委員会が定めた暴力団)等に対して行政的な措置で規制し(行政命令と言います)、従わない暴力団員に対し懲役や罰金など刑事罰にする暴力団取締の法規なのです。

暴力団対策法の禁止行為

9条 暴力的要求行為の禁止 指定暴力団員が指定暴力団の威力を示して行った27種類の不当要求行為を禁止しています。
10条 暴力団を利用する行為の禁止 一般の人であっても、指定暴力団員に対し、不当要求行為を要求・依頼・そそのかしをしたり、指定暴力団員が暴力的要求行為をしている現場に立ち会うことも禁止されています。
12条の2 指定暴力団員等の業務等に関し行われる暴力的要求行為の禁止 組織ぐるみで行われる暴力的要求行為を禁止しています。
12条の3.4 準暴力的要求行為の要求等の禁止 *指定暴力団員が、一般人等に9条の行為を要求・依頼・そそのかす行為を禁止しています。
*その違反行為に対して再発防止命令を発出することができます。
12条の5.6 準暴力的要求行為の禁止等 *指定暴力団員と一定の関係を有する者が、指定暴力団の威力を示して9条の行為を行うことを禁止しています。
*その違反行為に対して中止命令等を発出することができます。
15条 対立抗争時の暴力団事務所の使用制限 指定暴力団の対立抗争や内部抗争に対して、暴力団事務所の使用を禁止することができます。
16条 指定暴力団への加入強要・脱退妨害の禁止 指定暴力団への加入を強要したり、指定暴力団員の脱退を妨害することを禁止しています。
20条 指詰めの強要等の禁止 指詰めの強要・勧誘・補助を禁止しています。
24条 少年に対する入れ墨の強要等の禁止 少年に対し入れ墨を強要、入れ墨を入れるための資金提供等を禁止しています。
29条 暴力団組事務所等での禁止行為 *債権の履行などの交渉場所として組事務所使用の強要を禁止しています。
*暴力団組事務所やその周辺で住民などに不安を与えるような行為を禁止しています。

暴力団対策法第9条で禁止している行為

1 口止め料を要求する行為 2 寄附金等を要求する行為 3 下請参入等を要求する行為
 不正行為やスキャンダル等の個人や企業等の知られていない事実を公にしないことなどの対償として、金品等を要求すること口止め料を要求する行為  寄附金、賛助金、手数料等の名目のいかんを問わず、不当に又は社会的妥当性を欠く方法で金品等の贈与をみだりに要求すること
寄附金や賛助金等を要求する行為
 建設工事等の請負業務の発注者、又は受注者が拒絶しているにもかかわらず、下請参入や資材納入等の受入れを要求すること
下請参入等を要求する行為
4 みかじめ料を要求する行為 5 用心棒料等を要求する行為 6 高金利の債権を取り立てる行為
 縄張内で営業を営む者に対し、あいさつ料等の名目のいかんを問わず、その営業を営むことを容認する対償として金品等を要求すること
みかじめ料を要求する行為
 縄張内で営業を営む者に対し、日常業務用の物品等を購入若しくはリースすること、又はその営業を円滑に行うことができるようにするための用心棒料等を要求すること
用心棒料等を要求する行為
 利息制限法に定める利息の制限額を超える利息の支払を伴う債務の履行を要求すること
利息制限法に違反する高金利の債権を取り立てる行為
7 債権を取り立てる行為 8 債券の免除や猶予を要求する行為 9 貸付及び手形割引等を要求する行為
 人から依頼を受け、債務者に対して粗野若しくは乱暴な言動を交えて、又は迷惑を覚えさせるような方法で訪問したり電話をかけるなどして、債務の履行を要求すること
不当な方法で債権を取り立てる行為
 不当に又は社会的妥当性を欠く方法で、債務の免除や履行の猶予をみだりに要求すること
借金の免除や借金返済の猶予を要求する行為
 金銭貸付業者以外の者に対しては金銭の貸付けや手形割引等を、金銭貸付業者に対しては拒絶しているにもかかわらず、又は著しく有利な条件での金銭の貸付けや手形割引等を要求すること
不当な貸付や手形の割引き貸付要求行為
10 金融商品取引を要求する行為 11 株式の買取り等を要求する行為 12 預貯金の受入れを要求する行為
 証券会社等が拒絶しているにもかかわらず、金融商品取引を行うことを要求し、又は著しく有利な条件により有価証券の信用取引を行うことを不当に要求すること
不当な金融商品取引を要求する行為
 株式会社にみだりに株式の買取り若しくはあっせんを要求し、株式会社の取締役等に拒絶しているにもかかわらず株式の買取り等を要求し、又は著しく有利な条件による買取り等を要求すること
不当な株式の買取り等を要求する行為
 銀行等が拒絶しているにもかかわらず、預貯金の受入れを要求すること
不当に預金・貯金の受入れを要求する行為
13 地上げをする行為 14 土地・家屋の明渡し料等を不当に要求する行為 15 宅建業者に対して不動産取引を要求する行為
 正当な権限に基づいて建物やその敷地を居住や事業に使用している者の意思に反して、明渡しを要求すること
不当な地上げをする行為
 所有者等が拒絶しているにもかかわらず、土地や建物を占拠したり自己の氏名を表示したりする行為等をやめることの対償として、明渡し料等の名目で金品等を要求すること
土地・家屋の明渡し料等を不当に要求する行為(前12号)
 宅地建物取引業者が拒絶しているにもかかわらず、不動産の売買、交換をすること、又は貸借の代理、媒介をすることを要求すること
宅建業者以外の者に対し、宅地等の売買・交換等を要求する行為
16 宅建業者以外の者に対して不動産取引を要求する行為 17 建設業者に対して工事を要求する行為 18 集会施設等の利用を要求する行為
 宅地建物取引業者以外の者に宅地等の売買若しくは交換をすることを要求し、又は宅地等の貸借をすることをみだりに要求すること
宅建業者に対し、不当に宅地等の売買・交換等を要求する行為
 建設業者が拒絶しているにもかかわらず、建設工事を行うことを要求すること
建設業者に対して、不当に建設工事を行うことを要求する行為
 暴力団の示威行事の用に供されるおそれが大きい集会施設等の管理者が拒絶しているにもかかわらず、利用させることを要求すること
不当に集会施設等を利用させることを要求する行為
19 示談交渉へ介入する行為 20 因縁を付けての金品等を要求する行為 21 許認可等をすることを要求する行為
 人から依頼を受け報酬を得て、又は得る約束をして交通事故等の示談交渉を行い、損害賠償として金品等を要求すること
交通事故等の示談に介入し、金品等を要求する行為
 人から依頼を受け報酬を得て、又は得る約束をして交通事故等の示談交渉を行い、損害賠償として金品等を要求すること
因縁を付けての金品等を要求する行為
 行政庁に対し、申請が法令に定められた要件に該当しないのに許認可等をすること、又は不利益処分の要件に該当するのに不利益処分をしないことを要求すること
許認可等をすることを要求する行為
22 許認可等の排除を要求する行為 23 公共事務事業に係る入札参加要求する行為 24 公共事務事業に係る入札参加者の排除を要求する行為
 行政庁に対し、特定の者の申請が法令に定められた要件に該当するのに許認可等をしないこと、又は不利益処分の要件に該当しないのに不利益処分をすることを要求すること
許認可等をしないことを要求する行為
 国等に対し、入札参加資格がない者又は指名基準に適合しない者を、売買、貸借、請負等への入札参加を要求すること
公共事務事業の入札に参加させることを要求する行為
 国等に対し、入札参加資格がある者、又は指名基準に適合する者を、売買、貸借、請負等の入札に参加させないことを要求すること
公共事務事業の入札に参加させないことを要求する行為
25 公共事務事業に係る入札妨害や不当な要求をする行為 26 公共事務事業に係る契約を要求する行為 27 公共事務事業の契約先に対する指導等を要求する行為
 事業者に対し、国等が行う売買、貸借、請負等の入札に参加しないこと、又は一定の価格その他の条件をもって入札申込みをすることをみだりに要求すること
人に対し、公共事務事業の入札に参加しないこと等を要求する行為

 国等が拒絶しているにもかかわらず、売買、貸借、請負等の契約の相手方とすること、又は特定の者を契約の相手方としないことをみだりに要求すること

公共事務事業の契約の相手方とすること等を要求する行為
 国等に対し、売買、貸借、請負等の相手方に対して下請等の業務参入や、資材等の物品納入をするように指導、助言等をすることをみだりに要求すること
公共事務事業の契約の相手に対する指導等を要求する行為
暴力団対策法第9条で国民(企業)のみなさんは守られています。

平成24年10月31日施行