紳士録商法・機関誌や図書購入強要
対応マニュアル

最近の暴力団相談の中に

 紳士録商法の勧誘や一度紳士録に名前を掲載すると翌年から抹消料や解約料をしつこく請求してくる。 政治結社や右翼を名乗る者から不要で高額な機関誌や図書の購入を断っても強引に購読要求したり、送付される。 などのケースが多くなっています。
 被害に遭わないために誤りのない対応をしましょう。


紳士録商法に関するQ&A


電話による勧誘

 先日、右翼を名乗る団体から電話で紳士録に名前を掲載しないかという勧誘を受け、思わず「はい分かりました。」という返事をしましたが、その後その団体から送られてくる名簿掲載料として5万円の請求書が送られてきたのですが、払わなくてはいけないのでしょうか?
 「はい、分かりました。」と返事しただけでは、紳士録に名前を掲載されることを承諾しただけで、掲載料を支払うことまでも承諾したことにはなりません。従って、掲載料を支払って掲載してもらうという契約は成立してはいませんので、掲載料を払う必要はありません。

文書による勧誘

 「紳士録に貴殿の氏名を掲載したいが、反対の方は連絡下さい。」という内容の返信用の文書が送られてきて、これを放置していました。
 名簿掲載料を請求された場合はどうすればいいのでしょうか?
 「紳士録の掲載料は○○円です。いかがですか。」という申し込みがあり、これを承諾した時に契約が成立します。勝手に文書を送りつけてきて、これを放置していたところで、承諾したことにはなりません。ですから、契約は成立しませんので、契約料を支払う必要はありません。

抹消料・解約料の請求について

 書き替えや改訂版の購入を拒絶すると、抹消料を支払えとか言ってくるのですが、どうすればいいのですか?
 初回の掲載料と購読料の支払いで契約関係は全て終了していますので、、支払う義務は全くありません。断固として拒絶して下さい。

紳士録商法に対する心構え

紳士録商法に対処するキーポイントは何ですか?
 第一に、相手の実態がわかりにくく、お金を支払ってしまったら取り返しにくいものです。
 勧誘に対しては断固として、また、言葉尻をとられないようにして徹底的に拒否し続けることが大切です。
 第二に、解約料や抹消料を出せというやり方は、紳士録商法に限らず、他の資格商法にもみられ、強引でしつこいのが特徴です。
 状況によっては、弁護士などの法律の専門家に任せる方がよい場合もあります。

電話による機関誌・図書購入強要の対応の基本

1 相手の団体名、所在地、姓名及び要件をはっきり確認する。
 相手が右翼や同和団体を名乗るだけで、気後れして確認が不十分になりがちです。勇気を持って確認しましょう。  会話の内容を録音やメモ(報告書)に残しておくと、後日トラブルが発生したときに、有効な証拠となります。あなたは会話の当事者ですから、相手との会話の内容を録音しても法的に何の問題もありません。
 また、メモは言葉のやりとりはもちろんのこと、相手の口調を含め、出来るだけ詳細に書いておいて下さい。
 特に、法的措置をとる場合、相手の特定は必要条件です。ありふれた姓だけを名乗るケースが多く、これだけでは相手を特定するのに多くの手間がかかります。  相手も同時に録音しているかも知れないことを念頭に置くことも大切です。
2 社長・所長・支店長等トップには取り次がず担当者で対応する。
 いきなり決定権を持った者が対応すると、その場での即答を迫られ、よく検討する余裕もなく不利な結果となりがちです。  何かの不都合でトップが電話に出てしまったら「そのような要件は○○課(者)に担当させている」と担当者(者)へつなぎ直させる 。
 事業所は担当者を選任し担当者は「不当要求防止責任者講習」を受講して、暴力団対応のノウハウを学びましょう。
3 不要と判断した場合ははっきりと断る。
 「当社では購入(読)の意思はありませんのでお断りします。」「入りません。」とはっきり断って下さい。
執拗に要求されても「何度言われても同じです。」と繰り返しましょう。
 また、購入(読)を断る理由を説明する必要は全くありません。 

 「同業者の多くが協賛している。」「国民として我々の主義、主張に反対するのか。」「今回一度限りで結構だ。」などと強引に要求されてもはっきり拒否しましょう。(主義主張に賛同することと図書を購入することは別問題です。)

 「結構です。」「いいです。」は容認したという口実にされるおそれがあります。
 また、値段や支払方法の交渉は、購入(読)を承諾したと思わせることにもなるのでそのような話をしないことです。
 「検討します」「上司に相談します」「後刻返事します。」は相手に新たな口実をあたえることとなります。とりわけ「こちらからお電話します。」は避けましょう。
 相手は懇願、懐柔、恫喝等々あらゆるテクニックを駆使します。恐れず、侮らず、乗ずる隙を与えないよう、毅然とした対応が肝心です。
 政治問題や社会問題に関する論争や議論は絶対に避け、相手の挑発に乗らない、また言葉尻をとられないようにして下さい。
 電話対応は出来るだけ短くしましょう。そのために、最初に5分あるいは10分の時間制限を明言しておくことも大切です。
 早い段階で断りましょう。

機関誌・図書購入の相談事例

相談事例①:突然に、又は購読要求を拒否したが機関誌が送付されてきた。
相談内容:甲会社は、政治結社○○会から機関誌を購入してほしいとの電話があった。
     購入意思がないので購入を断った。3日後、機関誌が送られてきた。
【開封前なら】

〇 ポスト等に投函されていた機関誌
・「郵便物」=下記の文例のように記載した付せんを郵便物のしっかりと貼り、郵便局に持って行くか投函すれば返送できます。
・「メール便」=配達業者に電話で「受取拒否」を伝えて回収を依頼すれば、宅配業者が引き取りに来てくれます。
〇 配達員から直接受領した機関誌
・「郵便物」「メール便」「宅配便」=配達員から直接手渡された場合で、開封前であり、かつ受領者に押印やサインをしていない郵便物等は受取を拒否することができます。受取方法が異なる場合があるため、その場で配達員に確認してください。

【開封してしまったら】
 開封してしまった場合でも、受領した日から14日間保管していれば返還請求権がなくなるので処分することも可能です。しかし、購入拒否の意思を明確に相手に通知することが大切ですから、下記の文例のような断り状を作成して、返信してください。
 なお、返送方法はトラブルになった時のために、配達証明郵便等で返送したことが証明できるようにしてください。

   配達証明郵便とは、送達できたかを郵便局が 送信できたかを郵便局が証明するもので、文書と機関誌等を一緒に送れます。郵便物を配達し、相手に交付した後に郵便局から配達された旨のハガキが送られてきますので返送したことの証明ができます。
 
相談事例②:断りきれずに承諾してしまった後に送付されてきた場合。
相談内容:会社に政治結社○○会から機関誌を購入してほしいとの電話があった。
     購読を断れず承諾してしまった。その後、機関誌が送られてきた。
 購読要求を断れずに承諾してしまった場合「クーリングオフ制度」を活用してください。
 この制度は電話勧誘販売などで契約してしまった場合でも受領した日を含めて8日以内であれば一方的に契約を解除できる制度です。クーリングオフ制度(契約解除)は、必ず相手に対して下記の文例のような書面で行う必要があります。
 後日、断りの文書の内容を明らかにしり内容証明郵便と送付経過が判る書留により、返送したことが証明できるようにしてください。
    内容証明郵便とは、送達できたかの証明ではなく文書の内容を証明するものです。様式に沿った文書を作成することで、郵便局がその文章の内容を証明してくれることから証拠能力は高いため「クーリングオフ制度」を利用する際には有効です。しかし、機関誌と一緒に送ることができないので機関誌は別に書留等で返送することが必要であります。