■ 5_January -the intermission 2 ■


 ホテル暮らしも長いと、だんだんと身の回りのことを自分でしなくなってくる。
 ベッドは乱れたままでもキレイにしてもらえるし、部屋の掃除を自分ですることもない。
 飯もルームサービスか買ってきたもので。このままじゃ、すごい怠け者になってしまうと思う。
「そうかぁ?ま、俺は元々そんなことしねえからなあ。」
 ひばりは煙草の煙をぷかーっと吐きながら言った。その灰皿だって、自分で片付けたことないじゃねぇか…
「でもなんか俺は落ち着かないんだよな。他人が身の回りのことしてくれるって。」
「テメーは几帳面だからなぁ。」
 そりゃ、ひばりに比べたらな…。奴は自分の脱いだ服さえいつも放ったらかしだ。
「ホテルじゃなくて、どっか部屋を借りれないもんかな。」
 思わず口からそんな言葉が出る。
「姫に頼めば…」
「姫がウンって言うかよ。あのケチくせえ女がさ。」
 ひばりが呆れたように言う。
「でも。」
 ひばりは煙草を消して、ベッドの縁に座ってた俺の脚の間にちょこんと座った。
「いいよな、そういうの。ふたりで住むのって。」
 あ、可愛い。俺はひばりの腹に腕を回した。
「男ふたりで住んでたら近所の奴らがヘンに思うかもしれないから、設定考えなくちゃ。」
「ひばり、楽しそうだな…」
「まず、テメーと俺は兄弟な。テメーが兄で、俺が弟。」
「俺が兄?」
「見た目からしたらそうだろ。で、テメーは家で何かパソコンの仕事してんだよ。なんて言ったっけ…」
「SOHOのこと?」
「そうそう、で、俺は、時間が自由になる系の勤め人。」
「なんだそれ…」
「家事はテメーがすきなようにやれ。俺は何もできねえから。」
「だろうな。」
 ひばりが楽しそうに喋ってるのを見てるのが嬉しい。俺は、きゅっとひばりを抱きしめた。
「じゃあ、飯も毎食俺が作るよ。」
「へえ、テメーそんなこともできんのかよ。」
「大したことはできないけど、家庭料理?みたいのなら。」
「家庭料理…」
 ひばりはちょっと不意を突かれたような顔になった。
「そんなの、俺、食ったことねえや。」
 …そうか…小さいときからほとんどひとりで過ごしてきたって言ってたよな…
 『おふくろの味』みたいなのなんて、ひばりは知らないんだ…
 俺はもう一度ひばりを抱きしめた。
「毎食、俺が作るよ。それで、ふたりで一緒に同じテーブルで食べるんだ。」
「…うん。いいな、それ。」
 ひばりが俺にもたれかかってきた。俺をじっと見上げている。
「あ、そんなら弁当も作ってよ。それ持って毎日勤めに行くっての、どうだ?」
「うん、何でも作るよ。」
 ちゅっとキスして。…あ、ヤバい。止まらなくなりそう…。ひばりも俺の変化に気付いたらしく、ニヤッと笑った。
「バカ。なんだそれ。」
「もうっ。それはいいからっ。」
 ひばりはそのまま俺をベッドに押し倒した。そして、俺の胸の上に頭をちょこんと乗せて、きゅっと抱きついてきた。
「なあ…託弥…」
 つぶやくような小さな声。
「ホントに…そんな暮らしができたらいいのにな…」
 なあ、ホントに俺もそう思ってるよ。
 俺はひばりを抱きしめて、深く深くキスした。





to be continue…

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