■ 8_July -the intermission 3 ■


 どんなに言葉を重ねても、どんなに身体を繋いでも、毎日毎日あふれ出てくる思いを全部伝えきることはできない。
 唇を合わせて、何度も何度も囁く。背中に回された腕がきゅっと絞まる。
 世界中のどんな音楽も、ひばりの息の熱さに比べたらその音色を失う。
 心も身体も、持って生まれた時間も、全部全部、俺のすべてはひばりのものだし、ひばりは俺のものだ。
 他の誰も手に入れることができなかったものを、俺はもらうことができた。
 それは、何にも代えられない、俺だけの宝物なんだと思う。

 時々、ひばりはぼんやりと俺を見ている。
 それは俺が仕事をしてるときだったり、洗濯物をたたんでるときだったり、食器を洗ってるときだったり。
 ふとそれに気付いて顔を上げると、ひばりはちょっと驚いた顔をして、でもほんの少しだけ表情を歪めて、目を逸らしてしまう。
 何だかそのままひばりがどこかに行ってしまいそうな気がして、胸の中がざわつく。
 大切にしてるつもりなのに、俺のしていることはどこか的外れで、あきれられてるのかな、とも思う。
 とっさに言葉が出てこなくて、俺はただひばりを引き寄せて抱きしめることしかできない。
 ひばりは静かに俺に身体を預けて、まるで心音を聞くかのように俺の胸に耳を当てている。顔をのぞき込むと、ひばりは俺にしか見せない顔で微笑った。
 そうして、
「バカ。なんでそんなツラしてんだよ。」
と、いつものように悪態を吐いて、俺の頬を両手のひらで包むと、柔らかくキスした。

 どんなに毎日一緒にいても、あふれ出てくる思いは止まらない。
 多分、ずっと。
 だから、どうか、このまま、ずっと。





to be continue.....

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