ハナノキ (別名 ハナカエデ)  かえで科



  左;秋になると見事に紅葉する
  右上;葉に先立って花が咲く。 右下;雄株と雌株は別で、この花は雄花
 
 ハナノキ(花木)は長野・岐阜・愛知の三県にまたがって分布し、
雌雄異株で雄花と雌花は葉が出る前に2〜3個ずつ集まって咲く。
小さな花だが花どきは梢全体が真紅色に色づき、秋には美しく紅葉する。
このようなことで花の木の名がついている。
 この仲間はかつて広く分布していたことが化石の出土から知られている。
過去に繁栄した生き残り(遺存種)で、現在は限られた地域だけに野生している。
国内のハナノキは大正元年(1912)に岐阜県中津川市で初発見され、
天然記念物法ができて大正9年、この自生地(坂本)が最初に国指定された。
次いで大正10年に滋賀県で2件国指定されたが、ハナノキの分布が各地で調査されて
明らかになるにつれ、ここは植えられたものではないかと疑問視されている。
大正11年には長野県の新野のほか岐阜県で3件、愛知県で1件
の各自生地が国指定となっている。
 信州では飯田以南と木曽南部に自生し、「山本のハナノキ」は昭和40年に
県下最大だと県指定された。
また、昭和37年には100kmも北へ隔たった大町市の居谷里(いやり)湿原で
自生地が発見されて話題となった。

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