パチンコとの出会い
私がはじめてパチンコをしたのは、昭和37年頃だったと思う。家の近くの氷川神社のお祭
り。毎年決まって10月の第1土・日。我が家では、お祭りの時は特別にお小遣いがもらえた
ので、走って2分ほどの神社に友人を誘うのも待てず、ひとりで通ったものだ。遊ぶのが大好
きだった私。10歳。金魚すくいや、ヨーヨー釣りに飽きた私をひきつけたのが、パチンコの前
身といわれるコリントゲームのようなもの。白い飴玉のような玉を右下のばねで飛ばす。
それが1回5円のあんずアメの抽選に使われていた。下まで落ちずに、うまく途中の入賞穴
に入れば、そこに書いてある数字の本数(2か3)の水飴がもらえた。私は、アメよりも、その
ゲームがおもしろかった。
そしてある日、出会ってしまった。神社の奥のほうの怪しげなテント。それは、えげつない垂
れ幕に覆われた見世物小屋。「親の因果が子にむくい…」お決まりのセリフで呼びこみをして
いたが、その中では、双頭の蛇やら蛇を飲むおね‐ちゃんがいるそうな。そしてその横に・・。
屋根だけのテントの下に、なにやらおもしろそうなものが。10台ほどのパチンコ台。我が家
では誰もやらないので、なんだかわからなかったが、10円入れるとジャラジャラと玉が出た。
チューリップもなく、ただ、上から下に落ちるだけだったが、たまに途中の穴に入ると、じゃら
じゃらじゃら。他に誰もいなかったが、結構一人で楽しい時を過ごしていた。
教育熱心で知られた当時の我が家ではあったが、末っ子の私に親の力も抜けていたのか
私のその遊びを、親はとがめもしなかった。それでもその台は、私をそれほど夢中にもさせな
かった。そして。その後、高校生になるまでパチンコとはお別れ。
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