あまり言いたくはないけれど、ついつい出てしまう愚痴。
8月終わりのある日のお昼前、ペンションを経営なさっている古田さんが我が家に遊びにい
らした。「忙しいのになんでこんな時間に?」 私はそう思ったが、何か話したいことでもあった
のだろうか。
彼は、私達より遅れる事数年。やはり東京から一家でやってきた。彼がいらした当時、ちょ
うど税理士だった私の父が亡くなり、それ以来私達の経理に目を光らせてくれているため、
彼とは嘘のないお付き合いを長い間させていただいている。 まずはいつもの娘さんへの愚
痴、「家の娘はけしからん。ネットで知り合った人と遊びに行ってしまう。ひどいだろ?」
「そんなの全然。家の娘なんかネットで知り合った人と、イギリスまで行っちゃったよ。私だっ
てオフ会行くんだから・・・。古田さん、そんなの当たり前。何か起こりそうなときに正常な判断
ができれば、それでいいのよ。それが大事だと思うな。時代、進んでるんだから。」 こんな調
子で、いつも彼の愚痴を私は振り払ってしまうのだが、今回の愚痴には私もすっかり乗ってし
まった。
「最近の客はめちゃくちゃだよ。ビールだのワインだの全て持ちこみ、『氷ください。』だもん
ね。それとか、『冷蔵庫に入れておいてください』 あげくのはてに帰りにたくさんの瓶やら缶
やら持ってきて、『これ、どうすればいいですか?』 って・・・。」 「それでなんて言ったの?古
田さん。」 と質問する私。 「氷は有料だといって100円もらい、冷蔵庫はホールのを勝手に
使え、無くなってもしらん。ゴミは捨てるのが有料だから持ちかえるように言った。」 うーん。
宿は、宿泊料とともに、お客様の飲食代を生活の糧にもしていることを知らない方が多いの
だろうか。私も時折ホテルに持ち込む時、隠れるようにそっと持ち、ひっそりと後始末をして
帰るのだが・・・。結果は変わらないとしても、店の人への思いやりも少しあってもよかろうに。
私の店でも、腹の立つことがある。 「まあ、これ可愛い!簡単そうだから、真似して作って
バザーで売るわ!」 そうおっしゃって400円のマスコットを買っていらしたお客さん。 その
方は以前にも私をとても不愉快にさせた。 「あなた、○○屋で糸仕入れてるんですって?問
屋さんに電話で確かめたの。」 思ってても口にしない。そうしてしまっても、わざわざ相手が
嬉しくないことをおっしゃらなくても良いと思うのだが・・・。 その糸と出会うまでに私が何年も
かけ、試作を繰り返し、ようやく商品化したことを、彼女には想像ができないのであろう。
「ここの物は着ると気持ちいいのよ。ほら、写真とってあげるから着てごらん。」 と、学生に
伝える教師。 弱者と関わる方達(教師、ボランティア)の独特のずうずうしさにも時々閉口す
る。自分達は正しいことをしている。それにあんたが知恵を貸して当たり前。 そんな態度が
みえると、私もつい、丁寧な言葉で拒否表明してしまう。 「どうぞ、いろいろお試しになってく
ださい。私の方法は正しいものではありませんので。」
「ああ、探した探した。トイレ貸してください。」 そしてそのまま、店をご覧になることも無く帰
って行く観光客。 友人の喫茶店にお邪魔しているとき、さっと2階にトイレに走り、そのまま出
ていった若者にも驚いた。
そして、私を一番がっかりさせたのが、近所の公共トイレを覗いた時。コンビニのお弁当の
ゴミが袋詰めで数個。 それを見て嬉しくなる人は、まずいないでしょう。
人間が好きな私ですので、どうも、もろもろ無視できないのです。皆が気持ち良く暮らすた
めに、未だ見ぬ人のこと、今そばにいる人のことを、やさしい気持ちで考えることも大事だと
思う、今日この頃です。
平成13年9月7日 記
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