男と女

 
 男のような女もいれば女のような男もいて、性同一障害という方もいらっしゃるわけで、一概
に男女のことを語るわけにはいかないが、私は自分の経験から男と女というものは、本当に
それだけでずいぶん違い面白いものだと思っている。私自身は、一見なにもできないか細い
女に見えるらしく、親しくなった女友達は 「あなたは見かけと違ってやることが男っぽい!」 
とおっしゃる。 

 たしかに、花柄のトイレットペーパーを買って来たり、自分の部屋の電球にトロピカルな傘を
つけたりする一見男っぽい家人に対し、私はトイレの紙は硬くなければ良く、電気の傘は単
純なほど好き。女らしいムードを自分の周りに置きたいとは思わない。それでも、頭の内面が
100%女であると思う。見かけと内面が違うのはあたりまえとしても、最近 男女の思考と行
動の仕方の違いに驚きさえ感じている。

 女というのはおうおうにしてと自分の心を開くのが上手であり、男はそれが下手な傾向があ
ると思う。たとえば病院に入院した時、女性部屋では、いろいろな会話が飛び交い、それと同
じくらい差し入れられた食物がベッドを越えて飛び回る。みなそれぞれがおもいやり、世俗的
なねたみも競争心もなく穏やかな闘病生活を送る。

 昨年たった一日の入院で私は重病の同室者から、大きな大きな力を頂いた。病院おし着せ
のパジャマの着方からお湯の出し方まで、みな丁寧に教えてくださり 「あなたには刺激が強
すぎるかしら?」 と言って自分の大きな胸の傷跡を見せてくださったり。それぞれの不安を
一日しかいない私に皆が語ってくださった。
 それ以来彼女たちに会うことはないが、男性の病室でそういうことはあまりないのではない
かと今日いらした今年入院なさっていたとおっしゃる男性に聞いてみた。答えは私の思ったと
おりで 「会話なんかありません。カーテン引いたらみんなそれぞれがテレビをみているだけ
で、初めてでわからないことも誰も教えてはくれなかった・・・。」 と。そうでなくても気持ちがき
ついときにそれではあんまりでしょうに。

 年齢を重ねた時に男女の差はもっと大きくなる。女性は望む人なら自分から結構外に出て
ゆきどんどん新しい友達を作ってゆく。待ち受ける女性もまた何の違和感もなく気を許し、話
がはずむ。
 
そして女性は場面が変わればその場面の顔で、自分を楽しませる事が出来る。たとえばお
稽古事にゆけばそれなりに、その場の先生を中心に素直に生徒の顔になるし、同窓会に行
けばその時の自分に戻ったようにあどけなくなってしまう。
 
 ところが男性はなかなかそうはゆかないようで、最盛期の自分の姿に縛られて、なかなか
今の自分を素直に表すことが出来ないような気がする。年配の男性を見ているとよくそれを
感じる。もっと素直に今の自分をさらけ出せばいいのに・・。そしたらもっと楽しいのに・・。

 最近特に思う事がある。女性がやる気満々なのに対して男性は老いもわかきもなんだか元
気がない。そう思うのはたぶん私だけではないはず。店にいらっしゃるお客様を見ていて女
性の元気よさにいつも感服。オバサンパワーに怒りたくなる事もあるがまあそれも良い。

 男性に元気がないのは私たち女性のせいかと反省もするが、もっと頑張れ!男性達!

                   (2003 8月3日 記)

トップへ
トップへ
戻る
戻る