アラカルト

 平成4年に施行された「暴力団対策法」(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)は、民事介入暴力など、いままでの法令では対処が困難であった犯罪行為に至らない不当要求行為等を行った指定暴力団員(公安委員会が定めた暴力団員)等に対して行政的な措置で規制し(行政命令の発出)、従わない暴力団員に対し懲役や罰金など刑事罰をあたえる暴力団取締の法規なのです。この中の第9条で国民(企業)のみさなさんは守られています。

暴力団対策法第9条で禁止している行為

1 口止め料を要求する行為 2 寄附金等を要求する行為 3 下請参入等を要求する行為
 不正行為やスキャンダル等の個人や企業等の知られていない事実を公にしないことなどの対償として、金品等を要求すること口止め料を要求する行為  寄附金、賛助金、手数料等の名目のいかんを問わず、不当に又は社会的妥当性を欠く方法で金品等の贈与をみだりに要求すること
寄附金や賛助金等を要求する行為
 建設工事等の請負業務の発注者、又は受注者が拒絶しているにもかかわらず、下請参入や資材納入等の受入れを要求すること
下請参入等を要求する行為
4 みかじめ料を要求する行為 5 用心棒料等を要求する行為 6 高金利の債権を取り立てる行為
 縄張内で営業を営む者に対し、あいさつ料等の名目のいかんを問わず、その営業を営むことを容認する対償として金品等を要求すること
みかじめ料を要求する行為
 縄張内で営業を営む者に対し、日常業務用の物品等を購入若しくはリースすること、又はその営業を円滑に行うことができるようにするための用心棒料等を要求すること
用心棒料等を要求する行為
 利息制限法に定める利息の制限額を超える利息の支払を伴う債務の履行を要求すること
利息制限法に違反する高金利の債権を取り立てる行為
7 債権を取り立てる行為 8 債券の免除や猶予を要求する行為 9 貸付及び手形割引等を要求する行為
 人から依頼を受け、債務者に対して粗野若しくは乱暴な言動を交えて、又は迷惑を覚えさせるような方法で訪問したり電話をかけるなどして、債務の履行を要求すること
不当な方法で債権を取り立てる行為
 不当に又は社会的妥当性を欠く方法で、債務の免除や履行の猶予をみだりに要求すること
借金の免除や借金返済の猶予を要求する行為
 金銭貸付業者以外の者に対しては金銭の貸付けや手形割引等を、金銭貸付業者に対しては拒絶しているにもかかわらず、又は著しく有利な条件での金銭の貸付けや手形割引等を要求すること
不当な貸付や手形の割引き貸付要求行為
10 金融商品取引を要求する行為 11 株式の買取り等を要求する行為 12 預貯金の受入れを要求する行為
 証券会社等が拒絶しているにもかかわらず、金融商品取引を行うことを要求し、又は著しく有利な条件により有価証券の信用取引を行うことを不当に要求すること
不当な金融商品取引を要求する行為
 株式会社にみだりに株式の買取り若しくはあっせんを要求し、株式会社の取締役等に拒絶しているにもかかわらず株式の買取り等を要求し、又は著しく有利な条件による買取り等を要求すること
不当な株式の買取り等を要求する行為
 銀行等が拒絶しているにもかかわらず、預貯金の受入れを要求すること
不当に預金・貯金の受入れを要求する行為
13 地上げをする行為 14 土地・家屋の明渡し料等を不当に要求する行為 15 宅建業者に対して不動産取引を要求する行為
 正当な権限に基づいて建物やその敷地を居住や事業に使用している者の意思に反して、明渡しを要求すること
不当な地上げをする行為
 所有者等が拒絶しているにもかかわらず、土地や建物を占拠したり自己の氏名を表示したりする行為等をやめることの対償として、明渡し料等の名目で金品等を要求すること
土地・家屋の明渡し料等を不当に要求する行為(前12号)
 宅地建物取引業者が拒絶しているにもかかわらず、不動産の売買、交換をすること、又は貸借の代理、媒介をすることを要求すること
宅建業者以外の者に対し、宅地等の売買・交換等を要求する行為
16 宅建業者以外の者に対して不動産取引を要求する行為 17 建設業者に対して工事を要求する行為 18 集会施設等の利用を要求する行為
 宅地建物取引業者以外の者に宅地等の売買若しくは交換をすることを要求し、又は宅地等の貸借をすることをみだりに要求すること
宅建業者に対し、不当に宅地等の売買・交換等を要求する行為
 建設業者が拒絶しているにもかかわらず、建設工事を行うことを要求すること
建設業者に対して、不当に建設工事を行うことを要求する行為
 暴力団の示威行事の用に供されるおそれが大きい集会施設等の管理者が拒絶しているにもかかわらず、利用させることを要求すること
不当に集会施設等を利用させることを要求する行為
19 示談交渉へ介入する行為 20 因縁を付けての金品等を要求する行為 21 許認可等をすることを要求する行為
 人から依頼を受け報酬を得て、又は得る約束をして交通事故等の示談交渉を行い、損害賠償として金品等を要求すること
交通事故等の示談に介入し、金品等を要求する行為
 人から依頼を受け報酬を得て、又は得る約束をして交通事故等の示談交渉を行い、損害賠償として金品等を要求すること
因縁を付けての金品等を要求する行為
 行政庁に対し、申請が法令に定められた要件に該当しないのに許認可等をすること、又は不利益処分の要件に該当するのに不利益処分をしないことを要求すること
許認可等をすることを要求する行為
22 許認可等の排除を要求する行為 23 公共事務事業に係る入札参加要求する行為 24 公共事務事業に係る入札参加者の排除を要求する行為
 行政庁に対し、特定の者の申請が法令に定められた要件に該当するのに許認可等をしないこと、又は不利益処分の要件に該当しないのに不利益処分をすることを要求すること
許認可等をしないことを要求する行為
 国等に対し、入札参加資格がない者又は指名基準に適合しない者を、売買、貸借、請負等への入札参加を要求すること
公共事務事業の入札に参加させることを要求する行為
 国等に対し、入札参加資格がある者、又は指名基準に適合する者を、売買、貸借、請負等の入札に参加させないことを要求すること
公共事務事業の入札に参加させないことを要求する行為
25 公共事務事業に係る入札妨害や不当な要求をする行為 26 公共事務事業に係る契約を要求する行為 27 公共事務事業の契約先に対する指導等を要求する行為
 事業者に対し、国等が行う売買、貸借、請負等の入札に参加しないこと、又は一定の価格その他の条件をもって入札申込みをすることをみだりに要求すること
人に対し、公共事務事業の入札に参加しないこと等を要求する行為

 国等が拒絶しているにもかかわらず、売買、貸借、請負等の契約の相手方とすること、又は特定の者を契約の相手方としないことをみだりに要求すること

 国等に対し、売買、貸借、請負等の相手方に対して下請等の業務参入や、資材等の物品納入をするように指導、助言等をすることをみだりに要求すること
公共事務事業の契約の相手に対する指導等を要求する行為
暴力団対策法第9条で国民(企業)のみなさんは守られています。

平成24年10月31日施行

暴力追放Q&A

こんな時あなたならどう対応しますか?

交通事故の示談に暴力団がきたら?
交通事故の示談に暴力団員が介入することは「民事介入暴力」と言われ暴力団の資金獲得の手段で暴力団対策法で禁じられています。先ず、所轄の警察署に事故処理をしてもらう必要があります。損害賠償・相手との交渉等については保険会社、弁護士に相談するのが適切です。
債権回収に暴力団が介入してきたら?
 暴力団は従来から、個人や企業等から譲り受けたり、脅し取った「不渡手形」や「借用書」等を盾に、債務者や振出人等から債権の取り立てを図っています。また、近年では、金融機関の債権回収のための競売物件を安価で取得し、転売して儲けたり、立ち退き料を要求する目的で、「短期賃借権設定仮登記」や虚偽の「建物賃貸借契約書」を定時して競売を妨害するなどの動きが見られます。早目に相談して下さい。
商品に因縁をつけられたら?
 相談者の話をうのみにして要求に応じないことです。「要求内容を検討してお答えします」と間を取って適切な対応を考える必要があります。また、要求の内容や方法によっては犯罪にもなり、相手が指定暴力団であれば中止命令の対象にもなります。早目の相談が大切です。
公共施設の利用申し込みがあったら?
 明らかに暴力団であれば「規定によりお受け出来ません。」などときっぱり断ることです。施設利用規定に「集団的または常習的に暴力的行為を行う恐れのある組織の利益になると認めた時は使用させない。」などと明文で規定しておくことが大切です。
ホテル・旅館等に「義理がけ行事」の申し込みがあったら?
 暴力団は偽名を使って申し込みをしてきます。新規の団体や使用目的が不明の団体である時は、相手の住所、氏名、連絡先、職業などを確認し、直ちに判断出来ない時は、「仮予約」(仮契約)にしておき、暴力団の行事でないことが判明してから本予約をするなどの方法をとることが有効です。
*拒否するには
・暴排決議文、宿泊拒否の告示文をフロントなどの見やすい場所に掲示する。
・予約請書や案内文に「当ホテルの営業方針により申し込み後暴力団又はその関係者と判明した時は、契約無効とさせていただきますのでご了解下さい。」などと明記しておいて下さい。
ゴルフのプレーを申し込んできたら?
 暴力団関係者と分かる場合は、「ゴルフ場防犯協議会、警察との申し合わせにより、入場をお断りしています。」と毅然とした態度で断り、相手に付け入るスキを与えないことです。新規の客や身元がはっきりしない者の場合は「キャンセル待ちになりますので改めてご連絡します。」などと対応する必要があります。
女性の名で入居を申し込み、入居してきたら暴力団だったら?
 入居時の契約を無視して、建物を暴力団組事務所として使用している場合には、「目的外使用」など賃借契約違反で契約解除することが出来ます。賃貸契約書の解除条項に「暴力的行為で近隣に迷惑をかけた場合又はそのおそれのある場合」などを盛り込んでおくことが有効です。
見知らぬ機関誌などが一方的に送りつけられて来たら?
電話で購読を強いられたら?
紳士録商法・機関誌や図書購入強要対応マニュアル 参照)

反社会的勢力に対する基本的対応要領
15の原則

問題解決は毅然とした対応と早期相談
 ほとんどの人が、自分は暴力団員等反社会的勢力には関わりがないと思つておられますが、反社会的勢力が世の中に存在する以上、いつ、どこで、何が発端で関わりができるかわかりません。
 住民の皆さんや企業等が、反社会的勢力からの不当要求を受けた場合の対応要領を15項目に整理しました。
 大切なことは、反社会的勢力からアプローチを受けた場合は、一人(一企業)で悩まず、警察、暴追センターや弁護士に早い段階で相談することです。
 Ⅰ 基本的な心構え   
 01 全て組織で対応恐れず、勇気を持って毅然とした対応  02 信念と気迫を持って不当要求には屈しないという対応  03 挑発にのらない冷静な対応
 
 
   
 反社会的勢力は、刑務所へ入る危険を十分認識しながら、資金獲得のために訪れています。必要以上に恐れる必要はありません。毅然とした態度で対応してください。  反社会的勢力は、強い者には弱く、弱い者には限りなく迫ってきます。決して弱みを見せないことです。   反社会的勢力は、挑発してこちらの失言を誘つたり、言葉尻をとらえて徹底的に糾弾し、無理難題を押し付けてくる脅しのプロです。挑発にのらず、冷静に対応してください。 
  Ⅱ 具体的な対応要領   
 1 来訪者のチェックと連絡   2 相手の確認と用件の確認 3 対応場所の選定 
   
  受付係員又は窓口係員は、来訪者に「名刺をいただけますか。」と名刺をもらうか、「皆様に記入していただいております。」と面会簿に氏名等を記載してもらうなど、相手の人数等を把握して、対応責任者に報告し、あらかじめ選定した応接室等に案内する。   落ち着いて、相手の住所、氏名、所属団体名、電話番号等を聞き、用件を確認する。代理人の場合は、委任状の確認を忘れないようにする。   素早く助けを求めることができ、精神的に余裕をもって対応できる場所(自社の応接室)等の管理権の及ぶ場所で対応する。暴力団事務所等には絶対に出向かない。
 4 複数人での対応  5 対応時間の告知   6 言動に注意
     
  関係者以外は同席させず、人数を制限する。相手より優位に立つための手段として、常に相手より多い人数で対応する。また、あらかじめ役割分担を決めておくことも必要です。   対応時間が長いと、相手のペースにはまる危険性が大きくなるため、可能な限り短くする。最初の段階で「何時から用事がありますので、それまでならお話を伺います。」等と告げて対応時間を明確に示す。  反社会的勢力は、厳しく糾弾してきます。不当な要求に対しては「当社の方針としてそのような要求には応じられません。」等と答え、隙を与えないことが肝要です。
 7 書類の作成・署名・押印はしない  8 トップには対応させない  9 即答や約束はしない
     
  反社会的勢力は、「一筆書けば許してやる。」等と詫び状や念書等を書かせたがりますが、後日金品要求の材料などに悪用します。また社会運動に名を借りて署名を集めることもありますので署名や押印は禁物です。  いきなりトップ等の決裁権を持つた者が対応すると、即答を迫られます。次回からの交渉で「前は社長が会つた。お前ではだめだ。社長を出せ。社長が会わない理由を言え。」等と言うのが常套句で、あらかじめ責任者を決めて対応する。  反社会的勢力の対応は、組織的に実施することが大切です。企業の方針の固まらない間が勝負の分かれ目と考えて、執拗にその場で回答を求めてくることから、相手の要求に対する即答や約束は禁物です。
 10 湯茶の接待は不要   11 対応内容の記録化  12 機を失せず警察に通報
     
  湯茶を出すことは、反社会的勢力が居り続けることを容認したことになりかねません。また、湯飲み茶碗等を投げつける等脅しの道具に使用されることがあります。接待は不要です。  電話や面談内容は、犯罪として検挙する場合や中止命令を発出する場合、或いは民事訴訟の証拠としても必要です。その場でメモ、録音、ビデオ撮影をするなど記録化に努めてください。   相手が脅したり暴れたりした場合は、直ちに警察に通報する。不要なトラブルを避け、受傷事故を防止するためには事が大きくなる前の早い段階で、警察や暴追センターに相談することです。