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平成29年度 研究概要 (第1部門)

H29-1-1
題  目 学校生活における大型加湿器によるインフルエンザ予防の効果
研究者 大澤 聡
概  要 インフルエンザの流行期に入る11月〜2月までの期間で、大型加湿器を使用し生徒らのインフルエンザ予防について、対象生徒を平成29年度3年生とし、生徒が主に一日を過ごす各教室に大型加湿器を配置して罹患者数を調査した。(長野県の学校インフルエンザ初発日は平成29年11月9日、インフルエンザ警報発令は平成30年1月24日)加湿器の設置日平成30年1月12日 本校生徒の罹患者数、平成28年度期間中の2年生罹患者数34(学校全体では70名)平成29年度期間中の3年生罹患者数16人(学校全体では59名)近隣中学では本年度、学級閉鎖となったクラスがあるということでしたが、本校において調査研究対象学年の学級閉鎖もなく、対象生徒の罹患者数も半減した。大型加湿器の使用によって、教室の平均湿度も従来の40%前後から55%前後を推移するようになり、大型加湿器の使用がインフルエンザ予防に効果があると思われる結果となった。
H29-1-2
題  目 「長野県南部地方におけるカワムツNipponocypris temminnckiの分布拡大に関する研究」−最近の県南部の河川(天竜川・木曽川)におけるカワムツの生息状況について調査を行い、平成24年までの結果と比較し5年間の変化を検証する−
研究者 大原 均
概  要 元来、西日本に生息していた魚カワムツが長野県の天竜川水系の本川や支川に棲み、その生息域を拡大しつつあることは今までに報告してきた。最後の発表からほぼ5年が経過したので、それがどのように変化しているか調べ、その結果から検証した。明らかになったことは以下の通りである。@天竜川水系における生息域の北限が今までより約2km上流の大久保排水路まで延び、現在、生息の可否は大久保ダムで分かれている。A10年ほど前には木曽川ではカワムツを採捕できなかったが、今回南木曾町神戸地籍で1個体採捕した。木曽川では初めての生息確認である。B天竜川水系には生息域が過年度からあまり変わっていない支川があるが、拡大を制御している理由については今後追究すべき問題である。C前回、浮遊魚の全てがカワムツになっていた(優占率100%)地点のほとんどでは、その後他種の侵入がなく、今回もカワムツの天下であった。
H29-1-3
題  目 長野県のイノシシにおける、ダニ媒介性ウイルスの疫学調査
研究者 片上 隼人
概  要 重症熱性血小板減少症候群SFTSは、ブニヤウイルス科フレボウイルス属のウイルスによるダニ媒介性感染症である。長野県内では患者およびウイルス(SFTSV)感染の記録はないが、隣県でウイルス保有マダニの報告があり、山地は野生動物の行き来が多いため詳細は不明である。そこで初回の取り組みとして、マダニの生息が推測される地点およびヒトとの接触が考えられる地域においてマダニ個体を採集し、ウイルス遺伝子の検出を試みた。山岳地および市街地周辺の草地において旗ずり法によるマダニの採集を行ったところ、各調査地において4対の脚を持つ節足動物が採取され、顕微鏡観察の結果、これらがマダニの幼少個体である可能性が強く示唆された。同時に聞き取り調査を行ったところ、家庭で飼育しているヤギの耳裏で吸血するダニの存在が確認され、山野のダニの分布、野生動物のダニ寄生の実態に加え、家畜についても調査対象とする必要性が示された。
H29-1-4
題  目 長野県内出土人骨の集成と研究
研究者 川崎 保
概  要 遺跡の発掘調査において、多くの出土遺物が得られているが、土器や石器といった文化的な遺物と異なって、出土人骨をはじめとした自然遺物は、出土したこと自体の報告はなされていても、総合的に研究されてきたとは言い難かった。今回、茂原信生氏から提供いただいたデータをもとに遺跡出土古人骨を集成した。その結果と所見を、研究指導者の助力を得て、学術誌に遺跡単位(県内167遺跡)で網羅したリストを発表し、さらに、個別の人骨レベルでの集成を行った詳細版もまとめた。こうした作業によって、客観的なデータに基づいた縄文時代から江戸時代までの約1万年間の長野県内の古代人類の形質的な特徴や傾向を把握するだけでなく、今後さらなる自然科学研究(DNA解析等)をさらに進めるための研究の基礎を構築することができた。
H29-1-5
題  目 松本市北方中新世中期別所層産魚類化石の研究
研究者 小池 伯一
概  要 松本市・安曇野市に分布する別所層からは、1990年代に採土工事により多彩な化石が産出した、魚類化石については魚体の特徴から明らかになったものと、サメ類の歯化石の報告が主であったが、28年度に大まかな分類整理を行ったことにより、魚体化石・魚鱗化石等を、昨年購入したデジタル顕微鏡で観察して研究が可能となりました。その結果として例えば、ソコダラの体表からウロコを発見し、同様なウロコが上田の別所層からも産出していることが判明した、ブリ科の化石からもウロコが確認され種の同定が可能となった。また28年度に剖出した時のカットした母岩がテンバコに25箱あり、再度泥岩を割って魚体化石・魚鱗化石を追加しデジタル顕微鏡で観察することによって、数多くの新たな研究標本を得ることができ、別所層の魚類相研究に弾みがついた。
H29-1-6
題  目 オオムラサキの研究
研究者 東海大学付属諏訪高等学校 科学部
概  要 準絶滅危惧種の国蝶オオムラサキの生態解明と飼育繁殖、地域の豊かな生物多様性や固有種保全を目的に本研究を行った。オオムラサキは座から動かないというのが通説であったが、実際は40〜45%であり、より居心地の良い葉を求めて移動していた。また蛹化から羽化に要する平均日数は14日で、個体差が大きく、蛹で羽化のタイミングを調整している可能性がある。蛹の大きさは蝶の大きさと比例しており、幼虫ではできなかった雌雄判別が、蛹でできる可能性がある。羽化及び産卵に影響を及ぼす気象条件については相関がみられなかったが、羽化時には羽を乾かす必要があること、産卵時は大きなエネルギーを消費するため、雨に濡れて体温を奪われることは大きな危険であることから、雨天時は避けているのではないかと考えられる。飼育繁殖は、枝に網をかけて、エノキワタムシや害虫から食性樹と幼虫を守ることが、最も効果的な方法であるとの結論に至った。
H29-1-7
題  目 土器に含まれる岩石・鉱物鑑定による縄文時代人類の移動の研究
研究者 中村 由克
概  要 縄文時代の土器には、粘土と一緒に砂や小礫が混じっていることが多い。このような土器の胎土を顕微鏡レベルで鑑定すると、土器の製作地が判明するので、考古学で重要視されている。一般的な胎土の分析法は、土器を破壊してプレパラートにするが、貴重な文化財を破壊することは容易でなく、すべての資料を対象にできるわけではない。そこで、本研究は縄文土器を非破壊で、壊すことなく表面を実体顕微鏡で観察する方法を確立することに焦点を当てた。平成29年度は、この方法を確実なものとするため、前年度から借用している辰野町小田原遺跡の縄文土器を対象に、顕微鏡観察を行なった。この結果、1つの遺跡でも、1軒の住居址とかのまとまった単位ごとを対象とし、そのなかの代表する土器を選ぶことで、全体傾向を把握できることが判明した。本年度は予定した時間が確保できなかったので、平成30年度も継続して研究を続行したい。
H29-1-8
題  目 旧・安曇村の昆虫記録
研究者 平沢 伴明
概  要 旧・安曇村(現・松本市安曇)は村誌編纂を目的として、1980年代に大規模な動植物の現地調査を実施した。しかしその記録は同村の合併や担当者の死亡などの事情で、未公表のままであった。同地は上高地や北アルプス高山帯を含む日本有数の自然環境を誇りながらも、法的採集規制により今まで動植物のまとまった調査は無に等しく、詳細な実態のみならず、概要すらも不明のままであった。この調査で得られた成果中、1万3千匹を超える昆虫標本の貴重な採集記録を公表するため、再同定の実施と最新の分類情報を反映させ、約2千種7千件の総括リストを作成した。この中には高山性の種や上高地の固有種、衛生害虫まで網羅している。うち今回の助成金で、トンボ・蛾・バッタ・セミ・ハチ・甲虫・ハエの1,504種について、信州昆虫学会の誌上に記録を掲載した。なおこの一連の報告で用いられた全ての昆虫標本は、「松本市山と自然博物館」に収蔵されている。
H29-1-9
題  目 長野市北部低山帯にかかる雲と下層冷気流の流入について
研究者 堀渕 雄
概  要 長野市の北部に広がる、三登山や飯綱高原などの低山地帯(以後、低山地帯という)には、滝のように流れ落ちる独特な雲が現れることがある。古来、この雲は、逆さ霧とか、滝雲とか呼び習わされてきた。本研究では、この雲が、どのようにして発生するのか、解明しようとした。そのために、ビデオカメラを使って、雲を撮影したり、山中に機器を設置して、雲の中の様子を観測したりした。また、インターネットを活用して、各地の気象データ(上空を含む)を収集し、分析した。その結果、この雲は、日本海方面から流入する、湿った冷たい気流が低山地帯を乗り越える時に、フェーン現象を伴いながら発生するものであることが分かった。この雲の出現には、気圧配置が影響するが、同時に、日中、長野県中部に発達する熱的低気圧の役割も、見逃せない。また、出現には、日本海と内陸部の、日射による温まりやすさの違いや、放射冷却の大きさの違いも関係している。
H29-1-10
題  目 モンシロチョウの休眠条件
研究者 松下 陽音
概  要 去年までの研究で、休眠の条件として日長と気温が大きな要因になっていることは明らかだが、今年はさらに細かく休眠する条件を追究したいと考え研究を始めた。研究の結果、去年までの研究で分かっていた『日長が11時間より短ければ休眠し、11時間半より長ければ羽化する』という条件は、気温によって多少変化することが分かった。気温が27℃なら11時間より短くても羽化するし、10℃なら11時間半より長くても休眠する。また、去年の研究で分かっているように、30℃以上になる時は日長が極端に短くても羽化するのとは逆に、氷点下になるような気温の時には極端に日長を長くしても休眠するということが分かった。モンシロチョウは自然の中で、休眠するかしないかの日長の条件を気温によって多少変化させながら微妙な調整をしていると言える。
H29-1-11
題  目 エンマコオロギのメスがオスに近づかないのはなぜか
研究者 松下 郁果
概  要 オスはメスが近くにいることが分かった時にだけ、近くにいるメスに「オスが近くにいるよ」と音を出して知らせていることがわかった。キリギリスと違って地面や土の中で生活しているエンマコオロギは、そんなに遠くまで音を届ける必要がない。ただし、メスはオスが出す音が聞こえていても無視することもある。エンマコオロギのオスが出しているあのきれいな音は、メスに自分の居場所を教えていると言うより、交尾をしようと誘っている音だと言える。去年の研究で、8m離れた場所で音を出すオスにメスが全然近づいていかなかったのは、メスが遠くにいるオスには関心をしめさなかったからなのだとわかった。エンマコオロギは前足にしか耳がないので、胸にも耳をもつキリギリスに比べると遠くのオスが出す音が聞こえづらい可能性があることもわかった。同じ音を出す虫だが、キリギリスとは音を出す意味が少し違うのだと言える。

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